ここから本文です

「マンホールカード」大人がハマる マニア心をくすぐる仕掛け

福井新聞ONLINE 4/16(日) 11:43配信

 郷土色豊かなマンホールのふたのデザインを紹介する「マンホールカード」が福井県内でも人気だ。業界団体が昨年4月から全国各地で無料配布し、ブームになっているカード。3日から配布が始まった第4弾50種類には、県内3例目となる勝山市の「恐竜」が仲間入り。現地でしか入手できない希少さが思わぬ誘客効果をもたらし、発行希望の自治体が殺到する事態も起きている。人気の秘密を探った。

 勝山市長尾山総合公園管理事務所には3日午前9時すぎから、県内外の多くの人が訪れた。お目当ては肉食恐竜「フクイラプトル」がデザインされたマンホールのカード。四国や関西まで足を運び、数十枚を収集した高木眞一さん(71)=福井県あわら市=は「ローカル色豊かなデザインが楽しめる一方で、旅の記念にもなる」と魅力を語る。出張時に仕事の合間を縫って収集しているという福井市の50代男性もいた。

 カードは紙製で縦88ミリ、横63ミリ。表にはマンホールの写真や所在地の座標(緯度、経度)、裏にはデザインの由来とご当地情報が記されている。配布場所は1枚につき1カ所で、下水道施設や観光案内所など。手渡しで受け取るのがルールだ。

 仕掛け人は、国や自治体、下水道関連企業でつくるPR団体「下水道広報プラットホーム(GKP)」の山田秀人さん(41)。「約40年をかけて作り込まれてきたマンホールは、日本が世界に誇る文化物。デザインを入り口に、臭く汚いという不衛生な下水道のイメージを変えたかった」と語る。

  ■  ■  ■

 第2弾で配布を始めた福井市下水管理課によると、カードを取りに来た人は40代が最も多いという。なぜ大人がそこまで魅了されるのか。そこにはマニア心をくすぐる仕掛けがあった。

 まずは「統一感」。カードの寸法や大きさ、厚さなど規格をそろえるだけでなく、裏面の説明文の文体にまで気を配り、「北海道から沖縄までどこでもらっても同じ品質」(山田さん)を目指した。

 「自分なりの集め方」ができるのもポイント。カードは全国9ブロック別に色分けがされており、地域単位のコンプリートが可能だ。マンホールのデザインは動物や花、城などの絵文字「ピクトグラム」で分類され、図柄で集める楽しみ方もある。

 もう一つが「発見する楽しみ」。カード右下に小さく書かれた数字には、ある法則性が隠されている。「数枚集めれば気付くかも。発見した人がSNSで発信する効果を狙った」

 山田さんはかつて大手玩具店に勤めた経験があり、少年時代はシール集めに熱中した世代。経験に基づくコレクションカードのノウハウが、随所にちりばめられている。

  ■  ■  ■

 発行1年でカードは145自治体の170種類に。一部自治体では増刷するほどの反響を呼び、カードの累計発行数は60万枚に達する勢いだ。今回の第4弾では発行を希望する自治体が約300に上り、GKPが50に絞り込んだほど。県内では今後、鯖江市が発行を計画しているが、8月に予定される第5弾への採用は“激戦”が予想される。

 「当初は下水道広報のために発行していたが、いつしかシティープロモーションへと位置付けが変わってきた」と山田さん。第3弾で配布を始めた大野市の上下水道課によると、取りに来た人の約4割が県外だった。配布場所の本願清水イトヨの里に観光パンフレットを置き、県外客に周遊をPRしている。

 GKPは専用カードホルダーなど関連グッズを充実させ、娯楽として根付かせていきたい考え。国内には約1万種類、1500万基のマンホールがあり、ネタには事欠かない。山田さんは「カードが地域再生の鍵になるならこんなにうれしいことはないが、目的はあくまで下水道のイメージアップ。ブームが落ち着いても、市民の生活を影で支えるマンホールのように地味に、地道に発行し続けていきたい」と話している。

最終更新:4/16(日) 11:43

福井新聞ONLINE