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ありそうでなかった「丸いスーツケース」元教員が開発 社員4人は全員、教え子

西日本新聞 4/16(日) 7:10配信

 丸いスーツケース。ありそうでなかった代物を長崎県諫早市の元中学教員、立川 正昭さん(49)が開発した。「やっと来月から先行予約を受け付けられそうです」。直径55センチ、幅34センチ、38リットルを収納できるケースの周りをゴム製タイヤが回る仕組み。でこぼこ道や階段でも引っ張っていくことができ、タイヤの回転で発電、充電できるシステムも搭載する次世代のスーツケースだ。

 2013年、幼稚園から高校までの一貫校を創設する夢を実現させるため、22年間の教員生活に区切りを付けた。同年、不登校の小学生から高校生を受け入れるフリースクールを設立した。無償で運営するスクールの手伝いに、かつての教え子たちが集った。そのうちの1人から「授業で話していたスーツケースどうなりました」と問い掛けられた。

初の新入社員4人は全員、教え子

 社会科の教師だった。地理の授業で撮影した動画を見せるため、20カ国以上を旅した。そのたび、不都合を感じた。従来のスーツケースは4輪タイヤが雪に埋もれたり、古い街並みの石畳ではがたがたと騒音を立てたりした。ドイツから帰国する飛行機で「丸い形のスーツケースがあればいいな」とひらめき、授業で話していたことを思い出した。

 考案したデザインを教え子が動画サイトに投稿すると、大きな反響を呼んだ。需要があると判断し、商品化に向け15年、長崎市に会社を設立。社名の「NOVEL(ノベル)」は斬新を意味し、スーツケースにはカタツムリを意味する「Snail(スネイル)」と名付けた。いずれも教え子の案を採用した。商品化が近づくにつれ業務も増し、今年4月、初の新入社員4人を採用。全員、教え子だ。「喜びはみんなで分け合いたい」

 10万円を超える当初の販売価格の見積もりが悩みの種だった。「そんな値では売りたくない。もうけより、多くの人に使ってもらいたい」。この考えに賛同する業者が現れ、販売価格は7万円程度まで抑えることが可能になった。商売人ではなく、あくまで教育者だ。

西日本新聞社

最終更新:4/16(日) 12:15

西日本新聞