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【漢字トリビア】「書」の成り立ち物語

4/16(日) 11:30配信

TOKYO FM+

「漢字」、一文字一文字には、先人たちのどんな想いが込められているのか。時空を超えて、その成り立ちを探るTOKYO FMの「感じて、漢字の世界」。今回の漢字は「書く」、「読書」「書籍」の「書」。四月二十三日は「子ども読書の日」。この日から「こどもの読書週間」も始まります。

「書」という字を構成する文字をひとつずつひもときながら、この漢字のなりたちを読み解いてみましょう。
「書」という字の上半分は、三重県・津市の「津」という字の左側、「いつ・ふでづくり(聿)」と呼ばれる文字。
これは、筆を手に持つ形を表しています。
その下に組み合わされているのは「若者」の「者」という字。
この字はさらに、二つに分けられます。
下の「日」という字は、神への祝詞を入れる器・サイの中に、祝詞が入っている様子を示す形。
その上の「土」にカタカナの「ノ」を添えた部分が表すのは、木の枝を重ね、土をかけて作った「お土居」と呼ばれる土塁です。
これらの文字をあわせて出来た「書」という漢字。
敵が侵入してくるのを防ぐため、土居の中に埋めたお札に記した「神聖な文字」を意味しているといいます。

誰かに伝えたいことがあって「書く」。
自分と向き合いたくて「書く」。
書かずには生きてゆけなかったから「書く」。
それぞれの想いを形にするため、時間をかけて言葉を選び、自らの手を動かして「書く」という行為には、その人の魂が宿ります。
神と人、人と人とをつなぐ漢字が生まれてから三千年あまり。
あれからずっと、本当に大切なことは人の手によって書き記され、時を経てもなお、書き手の息吹やぬくもりを伝えます。

ではここで、もう一度「書」という字を感じてみてください。

四月二十三日から始まる「こどもの読書週間」。
この日は大切な人に本と花を贈りあうスペイン発祥の記念日、「サン・ジョルディの日」としても知られています。
本は、書き手が情熱と祈りを込めて記したひとつの宇宙。
読書とは、その広大な宇宙へ時空を超えた旅に出るようなものです。
帰還した宇宙飛行士たちが口にするような人生観の変化や、新たな視点を手に入れることも、あるかもしれません。
そもそも本は宇宙飛行と同じように、多く人の手がなくては出来ないもの。
書く人はもちろん、売る人、運ぶ人、印刷する人、編集者や校正者。
神さまだって、どこかでそっと、力を貸しているかもしれません。
一冊の本が、出会いと発見と、人知を超えた神聖な体験を連れてくる。
いざ、壮大な旅へ、出かけましょう。

漢字は、三千年以上前の人々からのメッセージ。
その想いを受けとって、感じてみたら……、
ほら、今日一日が違って見えるはず。


*参考文献
『常用字解 第二版』(白川静/著 平凡社)


(TOKYO FMの番組「感じて、漢字の世界」2017年4月15日放送より)

最終更新:4/16(日) 11:30
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