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北朝鮮に「MOAB」は落ちない? 米の強威力爆弾、かの国には不適なふたつの理由

4/16(日) 11:09配信

乗りものニュース

米軍の「MOAB」投下で世界に衝撃走る

 2017年4月13日(木)、アメリカのトランプ政権はアフガニスタンにおいて、米軍が保有する爆弾としては核兵器を除いて最強の威力を持つGBU-43/B「MOAB(モアブ)」を使用したことを明らかにしました。この事実は世論に非常に大きく受け止められ、日本においても大きく報道されただけではなく、米国では株価を下げるという結果も生じています。

【写真】「MOAB」搭載機MC-130「コンバット タロン」

 また一部メディアにおいては、北朝鮮に対する示威行為ではないかという見方もあるようです。

 この「MOAB」は「大規模・爆風・爆弾」のそれぞれ頭文字をとって命名された愛称であり、その名の通り航空機搭載用の爆弾としては破格となる総重量およそ10tにも及ぶ超大型爆弾です。内部にはおよそ8.5tにも及ぶ高性能爆薬を内蔵します。

 通常の作戦で使用される航空機用爆弾の中では最大級の「Mk84」でさえ総重量907kg、高性能爆薬430kgですから、総重量はほぼ10倍、爆薬量に至っては20倍にもなり、まさにけた違いの武器であると言えるでしょう。その卓越ぶりから「MOAB」の頭文字をとって「マザー・オブ・オール・ボムズ(すべての爆弾の母)」という非公式愛称でも呼ばれます。

 が、しかし「MOAB」が強力であるのはあくまでも一般的な航空用爆弾との比較での話であって、核兵器とは比べ物になりません。爆発によるエネルギーは広島型原爆のおよそ1000分の1に過ぎず、「MOAB」は既存の爆弾10発か20発程度の「ちょっと強い単なる通常兵器」と言えます。

 また爆弾の殺傷力は爆風と同時に飛び散る大量の「金属破片」が重要であることから、「MOAB」のように重量のほとんどすべてを高性能爆薬で占めると効果を減じてしまいます。それを承知で爆風を生じさせることに特化しているので、かなり使い方の難しい武器です。

 ではなぜ米軍は「MOAB」を投下したのでしょうか。

「MOAB」は北朝鮮へのメッセージたりうるか

 米軍の公式発表によれば、今回の「MOAB」投下は過激派組織ISIS(イラク・シリア・イスラム国)によって谷間に敷設された、多くのIED(路肩爆弾)やトンネルを一掃するためとされています。殺傷力は低くとも爆風の強い爆弾を地雷原処理などに使用する例は昔からよく見られることなので、この発表には説得力があります。

 今回は初の「MOAB」実戦投入であり、そういう意味では注目すべき出来事ではありますが、メディアや世間の反応はややオーバー過ぎだと言えるのではないでしょうか。

「北朝鮮に与えるメッセージがあるのでは?」という見方も、おそらくは否定できます。なぜならば「MOAB」は北朝鮮に対し、効果的ではないからです。

 まず第一に、「MOAB」の搭載機がMC-130「コンバット タロン」であるという点が挙げられます。MC-130はC-130輸送機を原型とした特殊作戦機で、ISISのような過激派組織とは異なり濃密な地対空ミサイル防空網を持つ北朝鮮の上空を飛ぶには、かなりの危険を伴います。

 第二に「MOAB」自体は爆風を造ることだけに特化した爆弾であり、おり、通常の建造物や弾道ミサイル車両を破壊するならば通常の爆弾のほうが効果的である点が挙げられます。鉄筋コンクリートなどで防護された地下シェルターには、まったく通用しないのです。

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