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世代に多大な影響を与える北野武映画の「暴力描写」

4/16(日) 17:00配信

TOKYO FM+

鈴木おさむがパーソナリティを務めるTOKYO FMの番組、4月14日(金)の生放送では、映画監督の真利子哲也さんが登場。

彼にとって長編商業映画デビュー作となった「ディストラクション・ベイビーズ」(2016年)は、数多くの著名人から絶賛され、「第90回キネマ旬報ベスト・テン」「第38回ヨコハマ映画祭」「第69回ロカルノ国際映画祭」など、さまざまな映画祭で受賞を果たしました。

そんな本作を観て衝撃を受けたという鈴木が、真利子監督に話を伺いました。

鈴木「主演の柳楽優弥さんをはじめ、菅田将暉さん、小松菜奈さん、村上虹郎さんなどとてもフレッシュな顔ぶれで(パッと見)恋愛映画かなと思ってしまいますけど(笑)。愛媛県松山市を舞台に、柳楽くん演じる主人公が理由なくただただ喧嘩に明け暮れるという物語ですが、何故この作品を作ろうと思ったんでしょう?」

真利子「初めて松山に行ったときに、たまたま飲み屋で出会った人から若い頃に喧嘩した話を聞いて、拳を見せてもらったら生半可じゃないというか本当に喧嘩をしていた人だなと思って、後日また松山に行って取材させてもらったのが始まりです」

鈴木「この作品で見せたかったものって何ですか?」

真利子「説明なく喧嘩が続いていくというのは、いわゆるドラマとは違う面白みを自分のなかで感じていたのできっと面白いものになるだろうと。取材で『何で喧嘩するんですか?』って聞いても答えが『楽しければええけん』って。自分も脚本を書きながら、撮りながら喧嘩ということを考えるのが動機でした」

鈴木「柳楽くんがある意味ゾンビに見えた。菅田くんの『経験値どんだけ上げんだよ!』って表現にもあったように、ゲームをプレイする感覚に近いのかなって。自分の命じゃないから何度も繰り返しちゃうような」

真利子「暴力を扱うにあたっていろんな形を見せようと思って。主人公はずっと拳だけで喧嘩をやっていて、それを見た菅田くん演じる裕也が感化されて、また違う暴力をしていく……という連鎖の中でいろんな形の暴力を見せようと。また主人公の暴力も見え方が変わっていくのが狙いではありました」

鈴木「不良のそばにいることで自分も強くなったと思い込んでしまう菅田くんの役の気持ちが分かるというか共感度が強かった。おばちゃんとか女の人を蹴りまくったりいびつな形で暴力をふるうんだけど……。こういう作品の脚本ってどういう風に書くんですか?」

真利子「主人公はほとんど台詞がない(笑)。動きをずっとト書きで書いていって。なので、柳楽くんは主人公を演じる上でどうやって形にするのかいろいろ話しながら作っていきました。柳楽くんもこの作品に勝負をかけてくれて」

鈴木「この作品って引きの画で表現しているじゃないですか? 普通殴るシーンって迫力を伝えるために寄りで撮りがちですけど、引きの画で観ると第三者の目で喧嘩を見ているようでものすごくリアルでした。それってすごく意識したんですか?」

真利子「喧嘩のシーンって、カットを割って派手に見せるというのもあると思うんですけど暴力を肯定的には見せたくないなと思って」

鈴木「暴力を伝える日本の映画って何年かに1回確変が起きると思うんです。北野武さんの映画を観たときにすごく痛みが伝わるっていうところで言うとこの作品も(確変を)起こしましたよね」

真利子「うれしいです! 初期の北野武さんの映画って自分の中でものすごく大きかったので」

鈴木「僕が高校生だったときに『その男、凶暴につき』(1989年)をワクワクしながら観に行ったら想像と全く違って映画館から出るときに足が震えた(笑)。凄すぎちゃってなかなか消化できなくて……」

真利子「目撃したっていう感じですよね」

鈴木「やっぱり北野武さんの映画を観て暴力描写を自分のなかで消化した人たちの作品ってこうなっていくんですね~」

真利子さんが監督・脚本を手掛けた映画「ディストラクション・ベイビーズ」のDVD&Blu-rayは絶賛発売中です。

(TOKYO FMの番組「よんぱち」2017年4月14日放送より)

最終更新:4/16(日) 17:00
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