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キリンとアサヒ、共同配送を鉄道に切り替え。食品業界で進む物流改革

ニュースイッチ 4/16(日) 13:24配信

「競争すべきところは競争し、非競争分野は協調していく」

 「物流問題は業界全体の問題。1社だけで悩んでいても解決しない」。飲料・食品業界では共同配送が活発になってきた。「他社との共同による物流改革で持続可能なバリューチェーンを構築したい」(西井孝明味の素社長)。人手不足の深刻化で、各社は共同配送についてもう一段踏み込む段階に入った。

 キリンビールとアサヒビールは1月、関西から北陸への配送を、鉄道による共同輸送方式に切り替えた。これまでは各工場から別々にトラックで配送していた。

 共同輸送にはJR貨物と日本通運も参加。関西から北陸向けのJR貨物の空コンテナを活用し、キリンとアサヒ両社の商品を金沢の共同物流センターへ輸送する。

 「競争すべきところは競争し、非競争分野は協調していく」。石井康之キリンホールディングス取締役常務執行役員は、こう強調する。

 キリンとアサヒは首都圏での小口配送や、長野県や静岡県の一部地域で空容器回収の共同化も推進している。さらにサントリービール、サッポロビールも加えた計4社で、年内に北海道でビール類の共同輸送に着手する計画も進めている。北海道は面積が広い割に荷物量が少なく、共同輸送メリットが大きい。

 味の素はカゴメ、日清フーズ(東京都千代田区)、ハウス食品グループ本社、日清オイリオグループ、ミツカンの5社と共同で、2016年4月に北海道で常温商品の共同輸送をスタート。さらにこの中から日清オイリオとミツカンを除いた計4社で、北海道地区と、九州地区にそれぞれ物流会社を4月までに設立した。19年には全国規模への展開も視野に入れる。

 商品の価格競争が激しさを増す中、メーカーが輸送コストを吸収する構造は限界を迎えている。共同輸送でトラックや鉄道の積載効率を上げ、運送コストを減らすのは重要な経営課題になりつつある。

 ただ、共同輸送を全面的に採用するには難しさも残る。売り上げ情報が他社に漏れないか、週末セールや季節限定商品などにうまく対応できるかといった懸念も根強いからだ。

 「それでも配送問題は手を組まざるを得ない。それだけドライバー不足問題は深刻化している」(小林新日清オイリオグループ取締役常務執行役員)。ライバル同士が手を組む難しさは残るものの協調はますます進みそうだ。

日刊工業新聞第二産業部・嶋田歩

最終更新:4/16(日) 13:24

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