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【WEC】ポルシェがハイダウンフォース仕様を持ち込まなかった理由/開幕戦

4/16(日) 21:43配信

motorsport.com 日本版

 WEC(世界耐久選手権)開幕戦シルバーストン予選で、1-2位のトヨタに退けられ、後塵を拝することになったポルシェ。

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 昨年、ポルシェは2度目のWECチャンピオンとなり王者の風格を見せつけたが、2017年シーズン前テスト“プロローグ“から、開幕戦予選に到るまでトップタイムを記録することができていない。

 ポルシェのチーム代表であるアンドレアス・ザイドルに対し、開幕戦に対するポルシェの狙いについて訊いた。

「まずこのレースを完走し、トヨタにどれだけプレッシャーをかけられるか見てみたい。勝てるパフォーマンスはあると思うが、どれだけ効果ある戦略を立てられるかだと考えている。信頼性に関しては心配していない」とザイドル。

「戦略に関してはクルマの空力性能なども考慮している。理由はふたつあって、ひとつはどれだけ空気の流れを読めているかということと、ふたつめはここでハイダウンフォースがどれだけ有利かということを読み取ることだ」

「我々は冬の間のテストで開発の方向を見つけていたから。去年のクルマは一昨年のクルマのパッケージを採用していた。でも、今年は全てを一新した」

 またザイドルは、トヨタを“強力なライバル“と認めており、開幕戦におけるポルシェの分は悪いと感じているようだ。

「この仕様でもし今回勝てたら凄いことだ。強力なライバルがいるため、現実的な話になると3位、4位を確実に手に入れるということが目標になる。それができれば信頼性が確保出来たということで、次のレースでは大きなアドバンテージになる。決勝では2位に入れたら大喝采だ」

 ザイドルは、ローダウンフォースパッケージの仕様が、シルバーストン・サーキットでトヨタと戦う上で“弱点“になると認めている。しかし、それでもなぜ、ポルシェはローダウンフォースのマシンを用意したのだろうか。

 ザイドルにその真相を迫ると、ローダウンフォース仕様に開発を集中させたことにより、ハイダウンフォース仕様を仕上げられなかったという。

「シルバーストンにハイダウンフォース仕様のクルマを持ち込まなかったのは2つの理由がある」とザイドルは説明した。

「ひとつは、空力開発においては、ハイダウンフォース仕様とローダウンフォース仕様を並行して開発していたが、ここにはハイダウンフォース仕様のパッケージの開発が間に合わなかった。去年はその前の年のハイダウンフォース仕様を持ち込んで間に合わせたが、今年はそれはしなかった。そこで、現時点で完成しているローダウンフォース仕様だけを持ち込んだ」

「もうひとつはここのレースをテストの一環と考えて、ここでの結果は少し犠牲にしてもル・マンに向けてのクルマ作りができればと思っている。レースよりテストの方が重要だ。去年を振り返ってみても、幾つもの良いレースができたのは、レースをテストと捉えて性能と信頼性を上げることに重点を置いたからだ」

「2台を出場させるのだから、1台をハイダウンフォース仕様、もう1台をローダウンフォース仕様にする考えはあったが、とにかくハイダウンフォース仕様の空力パッケージが間に合わなかった」

 詰まるところ、本来ならばハイダウンフォース仕様を投入したかったが、それの開発が間に合わなかったため、開幕戦シルバーストンを使ってローダウンフォース仕様のパッケージを煮詰めることに振り切ったということだろうか。ポルシェの苦肉の策とも取れるが、シーズン後半での怒涛の追い上げも想像できなくもない。

 一方のトヨタは、開幕戦から第3戦ル・マン24時間レースまでシーズンの地盤を固め、着実にポイントを獲得するために作戦を採るようだ。トヨタとポルシェの一騎打ち、2017年WECを制するのはどちらか。