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所蔵の刀つば 富山藩主の品 富山の森記念秋水美術館、幕末史料と一致

4/16(日) 0:40配信

北日本新聞

 森記念秋水美術館(富山市千石町)が所蔵する日本刀の「つば」が、富山藩主を務めた前田家ゆかりの品であることを同館の学芸員が突き止めた。特徴などが前田家の所蔵目録に記された内容と一致した。前田家の刀剣類は全国に散逸し、所在が分からなくなっており、専門家は「極めてまれな発見」としている。(文化部・米沢慎一郎)

 つばは鉄製で、縦8・9センチ、横8・5センチ、厚さ4・5ミリ。唐草模様に前田家の家紋、梅鉢紋が組み込まれている。幕末の安政年間に富山に住んでいた刀鍛冶、成就(なりとも)が造ったことを表す「越中國住 成就造之」の銘もある。刀剣コレクターの森政雄名誉館長が収集の一環で購入していた。

 澤田雅志学芸員が、所蔵品展に向けて展示品の由来を調べる中で、梅鉢紋が施されたつばに着目。幾つも史料を調べ、1866(慶応2)年にまとめられた富山藩前田家の刀剣類目録「御腰物留帳(おんこしものとめちょう)」(県立図書館蔵)に行き当たった。最後の藩主となる13代前田利同(としあつ)(1856~1921年)時代の目録で、刀や短刀のほか、新しい刀用に造ったつば3点も記されていた。

 うち「御大小鍔(おんだいしょうつば) 木瓜形(もっこうがた) 御紋唐草(ごもんからくさ) 成就作(大小のつばで、瓜(うり)を輪切りにした際の断面のような形。梅鉢紋と唐草模様があり、成就が作った)」と紹介されている品があり、森記念秋水美術館のつばと特徴がぴったり合った。つばの項目の筆頭で、名品に位置付けたことが分かる。

 富山藩前田家の刀剣類は、明治期の東京移住などの混乱で全国に散らばり、大半の行方が分かっていない。市郷土博物館の坂森幹浩主幹学芸員は「前田家の品であれば、当時の研究を進める上で大変価値のある発見になる」と語る。

 森記念秋水美術館で18日に開幕する「所蔵名品刀展 秋水の美IV」で展示する。澤田学芸員は「つばの模様は、透かし彫りで緻密に作られている。富山の職人が高い技術を持っていたことを知ってほしい」と話している。


◆御腰物留帳◆
 富山藩前田家が所蔵する刀剣類の目録で、「宝物リスト」とも言える史料。刀8振り、脇差し7振り、短刀2振りなどが記録されている。藩主の好みに合わせて「さや」や「つか」を組み合わせて刀を作ることから、「つば」を単品で保管していたことも記されている。

北日本新聞社

最終更新:4/16(日) 17:16
北日本新聞