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社説[流弾か 車に傷]危険な実弾訓練見直せ

沖縄タイムス 4/16(日) 9:45配信

 恩納村安富祖の集落に近い米軍キャンプ・ハンセン内で、日本人工事作業員の車や水タンクが破損し、近くに銃弾らしきものが落ちていたことが分かった。米軍の流れ弾とみられている。

 基地内とはいえ、住民が農作業で立ち入る黙認耕作地からそう離れていない場所である。現場には多くの工事関係者もいた。「一歩間違えれば」と思うと背筋が寒くなる。

 銃弾らしきものが見つかったのは、恩納村が発注する安富祖ダム工事の現場。

 13日、工事作業員が止めていた車から傷が見つかり、近くに銃弾のようなものが落ちていた。

 6日にはゲートから100メートルほどの場所にあった水タンクに穴が開き、中から同じく銃弾のようなものが発見されている。

 米軍基地と隣り合わせの生活に、あらためて恐怖と不安を感じる。

 恩納村と金武町、宜野座村、名護市にまたがるキャンプ・ハンセンは、実弾射撃訓練が認められている海兵隊の演習場だ。

 県道104号を封鎖して行われていた実弾砲撃演習は、米兵による暴行事件をきっかけに本土へ分散移転されたが、実弾射撃による原野火災や施設外への被弾などは繰り返し起こっている。

 県民の命と財産に関わる重大な問題である。

 政府は実弾を使った訓練にもっと敏感になるべきだ。 

 米軍はいったん訓練を中止し、原因究明を急ぐとともに防止策を示すべきだ。

■ ■

 県内では復帰後だけでも米軍基地から民間地への被弾が27件発生している。施設別ではキャンプ・ハンセンが11件と最も多い。

 1964年、金武町伊芸区の民家の瓦屋根を小銃弾が貫通した事件では、自宅にいた19歳の女性が重傷を負った。

 79年、沖縄自動車道伊芸サービスエリアの駐車場に落下した砲弾の破片は、アスファルトに5センチを超える穴を開けた。

 事件のたびに住民は近所を歩くことにも恐怖を覚え、家にいても安心できないなど不安の中での生活を強いられてきた。

 さらに2008年、伊芸区内の住宅に止めてあった車から銃弾が見つかった事件では、県警が米軍の弾芯と判断したにもかかわらず、海兵隊は「訓練とは関係ない」と一方的に否定した。

 地位協定が壁になり十分な捜査ができずうやむやにされたのだ。

■ ■

 キャンプ・ハンセンの訓練区域は東西約13・5キロ、南北約4・2キロ。極めて限られた狭い土地に、しかも住民地域に隣接している。そこで激しい訓練が実施されているのである。

 そもそも住宅地に銃声が響く生活自体が異常である。沖縄の土地の狭さは軍事訓練に適さない。

 たとえ米軍に施設管理権があったとしても、県民の生命と安全と生活環境を守る責務は国にある。

 流弾・跳弾の恐れのある実弾射撃訓練の見直しに着手すべきだ。

最終更新:4/16(日) 16:00

沖縄タイムス