ここから本文です

パンと郷土愛、幕末の「パン祖」もお怒り? 戸惑う全国の「ご当地」 街おこしのシンボルなのに…

withnews 4/19(水) 7:00配信

 道徳の教科書をめぐって注目された「パンと郷土愛」。全国には、パンが郷土のシンボルになっている街があります。「すばらしい日本の文化の一つなのに…」。パンを愛する人たちの思いを聞きました。(朝日新聞記者・日高奈緒)

【画像】パンと言えば「ヤマザキ春のパン祭り」 歴代36種類の皿が集めてみてわかったこと…

「郷土愛が足りない」指摘

 波紋を呼んだのは、来年度から使われる小学1年生の道徳教科書です。教科書会社が文部科学省による教科書検定を受けて、教材で登場する「パン屋」を「和菓子屋」に差し替えました。

 文科省はこの教科書について「伝統文化の尊重や郷土愛などに関する点が足りなかった」と指摘していました。パンは伝統文化でも郷土愛にも関わらないのか? 「パンから和菓子」への差し替えは、大きな議論を呼びました。

パンで町おこし、しているんですが……

 パンを使った町おこしをしている自治体はどう思っているのでしょうか。

 愛知県蟹江町は人気のパン店が集中していることから、店めぐりに便利な地図を作り、町歩きに利用してもらっています。

 「パンのまち蟹江」として売り出し中で、イベントには愛知県外からもお客さんが来るそうです。町の担当者は「町にはおいしい和菓子もありますし、パンと和菓子は本来対立するものではないのでは……」と言います。

 1869(明治2)年に外国人居留地にパン店ができた歴史を持つ神戸市中央区。毎秋、区内のパン店めぐりを楽しむイベントを開いています。

 区の担当者は「差し替えにコメントする立場にはない」と言いましたが、「区内にはおいしいパン屋がたくさんあり、パンは街のにぎわいづくりの大切な資源です」と話してくれました。

実は意外に古い? 日本のパンの歴史

 日本にパンが伝わったのは、16世紀にポルトガル人が来航した際と言われています。その後、国内でのパン製造は下火になりましたが、江戸時代末期、伊豆・韮山の代官・江川英龍(ひでたつ)が兵隊の携帯食としてパンに注目しました。

 江川についての著書がある公益財団法人「江川文庫」学芸員の橋本敬之さん(64)によると、江川は農兵に自ら研究して作ったパンを持たせ、訓練などを実施しました。1カ月パンだけ食べさせられる訓練もあったそうです。

 江川英龍は地元では今も「パン祖」とたたえられ、地元の静岡県伊豆の国市では毎年、「パン祖のパン祭」が開かれています。

 橋本さんは言います。

 「パンは明治時代ごろに日本に来たと思っている人は少なくないと思いますが、実は歴史のある食べ物。西洋や中国大陸の進んだ文化を採り入れてきた、すばらしい日本の文化の一つなのではないでしょうか」

1/2ページ

最終更新:4/19(水) 7:00

withnews