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熊本地震1年 九州発の無人重機が南阿蘇村で活躍 遠隔操作など被災地で威力、教訓生かし進化

産経新聞 4/17(月) 7:55配信

 発生1年を迎えた熊本地震の「本震」では、激しい揺れでトンネル壁面や道路が相次いで崩落し、交通網の寸断が避難や支援の障害となった。二次災害の危険が伴う復旧作業の現場では、遠隔操作で稼働するダンプカーやショベルカーが活躍した。無人機の技術進展は26年前、九州で発生した災害が契機となった。 

(九州総局 中村雅和)

 昨年4月16日の本震では、熊本県南阿蘇村で大規模な土砂崩れが発生し、阿蘇大橋が崩落した。山肌が大きく露出し、次の崩落を起こしかねない状況の中、国土交通省は、緊急の復旧工事に無人機を投入した。

 土砂を取り除くショベルカーや、運搬するダンプカーが、約1キロ離れたモニタールームからの指示に従って、スムーズに動いた。最大で計12台が同時に稼働し、落石防止用の盛り土などを施工した。

 工事現場の機械を無人化する遠隔操作技術は、43人が犠牲となった雲仙・普賢岳の大火砕流(平成3年)からの復旧工事で、導入が進んだ。

 再び噴火が起これば、作業員が巻き込まれる恐れがある。このため国交省は、フジタなど建設業者の協力を得て、無線を利用した重機を採用した。炭鉱の現場での活用例はあったが、災害では初めてだった。取り付けたモニターで機械の周辺状況を確認しながら、作業を進めた。

 ICT(情報通信技術)の発展とともに、技術力は向上した。遠隔操作が可能な距離が伸びたほか、指示に対する機械の動きも良くなった。

 国交省九州技術事務所の島本卓三所長は、当時の開発を振り返り「一刻も早い作業と、作業員の安全確保を両立しなければいけない難しい現場だった。無人化による遠隔操作は、厳しい環境への対応策だった」と説明する。

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 無人に特化した重機の開発と並行し、通常の工事現場にある有人の機械に取り付け、遠隔操作を可能とする装置の開発も進んだ。

 同事務所は平成11年、「ロボQ」と名付けた装置を開発。今年3月末には、改良型の「ロボQS」がデビューした。

 いずれも中継のアンテナを立てれば、150メートル以上離れた距離から操作ができる。ただ、旧型は人型ロボットのため、運転席をほぼ占有するほどの大きさだった。それに比べ、新型は骨組みとアームだけのシンプルな構造だ。重量も80キロと、旧型から100キロも軽量化した。

 また、設置に工具が必要だった旧型に対し、新型は人の手だけで組み立てることを可能とした。設置時間は30分程度と6分の1に短縮。内部装置の改良で空輸もできるようになった。

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 これらはすべて、地震や水害など、過去の出動時の教訓が生かされている。1日も早い復旧の実現に向け、多くの関係者が知恵を絞った。

 島本氏は「早期に対処しなければ、より大きな被害につながるケースもある。短時間で取り付けが可能なロボQSは、二次災害の危険と隣り合わせの現場で、選択肢を増やせる大きな武器だ」と語る。

 ロボQSの完成は熊本地震発生に間に合わなかったものの、今後、国交省九州地方整備局管内のロボQ6台と順次、置き換えていく方針だ。

 阿蘇大橋周辺の復旧現場で得られた知見も、今後取りまとめ、引き続き、装置の改良につなげていく。対応力を増した新型機が、被災地の早期復旧に備えている。

最終更新:4/17(月) 7:55

産経新聞