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<食の世界遺産>懐かしの「有馬山椒」復活へ

毎日新聞 4/17(月) 10:46配信

 神戸市北区の温泉地、有馬温泉周辺で古くから栽培されていた「有馬山椒(さんしょう)」を復活させようとするプロジェクトが進んでいる。今年1月には、世界の地域固有の農水産物や伝統食を守るため、スローフードインターナショナル(SFI)が進める、食の世界遺産と呼ばれるアルカ(味の箱船)に登録された。【栗田亨】

 有馬山椒は、料理に山椒を使う文化が根付いている有馬地域で自生している山椒で、国内で一般的な「朝倉山椒」と違い、高い柑橘(かんきつ)系の香りが特徴。1960年代までは有馬地域では一般家庭でも使われてきた。山椒を使った日本料理が「有馬焼」「有馬煮」と名付けられるように有馬と山椒の縁は深い。しかし、有馬山椒の生産は難しく、次第に廃れた。

 その伝統を復活させようと、2009年から有馬温泉観光協会などが中心となって、六甲山に生えていた有馬山椒を育成するプロジェクトを開始。北区大沢町の農家約10戸が大沢有馬山椒部会を結成し、15年から実際に有馬山椒の育成を始めた。現在約150本を育てており、昨年は花や実8キロを収穫した。温泉旅館での料理への活用だけでなく、昨夏には山椒ビールを期間限定で発売するなど関連商品の開発にも力を入れている。

 昨年6月に神戸市と連携事業を始めたSFIが有馬山椒の復活に着目し、登録にこぎつけた。アルカには、世界的に有名になったグルジアワインなどが登録され、日本では37品目が登録されている。担当のアンドレア・ピエローニ・イタリア食科学大教授は「欧州ではスパイスとして山椒が注目されている。スパイスとして香り付けにも使える」と高く評価した。

 先月14日には、山椒部会の農家が集まり、北区の農場で、育成の難しい有馬山椒の接ぎ木や剪定(せんてい)のやり方を学ぶ講習会があった。同部会長の辻井立郎さん(59)は「希少価値のある懐かしい有馬の味を取り戻し、復活させたい」と話していた。

最終更新:4/17(月) 12:36

毎日新聞