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ビー玉の語源は「B玉(規格外)」? それとも「ビードロ玉」? ビー玉のプロたちに聞いた

ねとらぼ 4/17(月) 21:36配信

 ビー玉という名前の語源は「A玉」「B玉(規格外)」という等級によるもの、とする説がSNSを賑わせています。この説は本当に正しいのか、日本唯一のビー玉製造会社や日本で最も古いラムネ販売店などを取材しました。

【画像:ラムネに使われている特殊パーツ】

 きっかけは、あるTwitterユーザーが投稿した「『ラムネ玉』の製品規格で合格したものが『A玉』、不合格だった規格外品が『B玉』だったのだ」とする説。不良品(B玉)は駄菓子屋などで取り扱われ、後の玩具、ビー玉になったというのです。

 つまりラムネに使用されているのは全て「A玉」であり、「ビー玉(B玉)」ではないとのこと。この説は本当なのでしょうか。

●日本で唯一ビー玉を製造している「松野工業」

 まずお話を伺ったのは、大阪府にある日本で現存する唯一のビー玉製造会社「松野工業」。早速あの疑問をぶつけてみます。

――ビー玉の語源は「B玉」というのは本当なのでしょうか

担当者:私どもの会社では、「A級」や「B級」といった区別はしていません。ただし、戦後、大阪でビー玉を製造していた会社が6~7軒あり、そのうちのどこかが「A玉」「B玉」と等級を区分していたという話を聞いたことがあります。

――「A玉」と「B玉」の違いは何なのですか

担当者:ラムネに使用できる正規品を「A玉」、傷がついたり規格外なものを「B玉」と呼ぶということです。うちもその「B玉」の話を聞いたことがきっかけで、「ビー玉」と呼ぶようになりました。

 なお、これまでにもいろいろなメディアが取材に来ていて、NHKなどに「ビー玉の語源がA玉、B玉という説は本当です」とコメントしたこともあるとのことでした。

●日本で初めてラムネを売ったといわれている「吉田勝吉商店」

 続いてお話を伺ったのは、日本における清涼飲料水製造の先駆けで、西日本で初めてラムネを売ったともいわれている長崎県の「吉田勝吉商店」。店主にお話を聞きました。

――ラムネの語源が「A玉」「B玉」という説を知っていますか

店主:A玉とかB玉という区別については聞いたことがないです。ただ、傷が付いたビー玉を使用すると炭酸が抜けやすい状態になって不良品になりかねないので、検品の際にそういう名称が生まれたかもしれませんね。

――ちなみに、ラムネはなんで「ラムネ」という名前なんでしょう

店主:ラムネの語源はレモンの果汁を炭酸で割ったことを意味する「レモネード」なんです。これが訛って「ラムネ」という名称に落ち着いたといわれていますよ。

 「レモネード、ラムネード、ラムネ―、ラムネ」という具合でしょうか。これは思わぬところで、ラムネの語源を知ることができました。

●ラムネの歴史に詳しいラムネメーカー「倉敷鉱泉」

 最後にお話を聞いたのは、岡山県のラムネ製造メーカー「倉敷鉱泉」。自社サイトに「ラムネのお話」というラムネにまつわる紹介ページを設けるなど、ラムネとビー玉の関係性を詳しく知っていそうです。代表にお話を聞きました。

――ラムネの語源は、「A玉」「B玉」という説について調べているのですが

代表:はい、その説は知っています。しかし、おそらく違うのではないかと考えています。

――違うんですか!

代表:実はその「A玉」「B玉」という説は、1990年に出版された「びんの話(山本孝造・著)」という本がきっかけで広まったものです。この本を出典元にして、いろんな本やリーフレットが作られていますが、そもそもこの本になぜそうした情報が載ったのか、という経緯についてはこれまで明らかになっていません。ですから私自身は出自不明の話と捉えています。それにラムネの蓋に「A級」や「B級」という等級が付けられること自体が必要ないと思います。

――なぜ等級が要らないのでしょうか

代表:実はラムネに使用するビー玉は、多少傷があったりゆがんでいたとしても全然問題がないんです。というのも、ラムネ瓶の中には「くちゴム」という太い輪ゴムのようなパーツが入っていて、これと瓶の中に充満した炭酸がビー玉を支えています。ですから、一部でもきちんとハマっていれば、炭酸は抜けません。

――それは意外でした

代表:ちなみにもう一つ不思議だなと思うのが、ビー玉の検品についてです。今は技術が発達したので、人の目だけでなく、機械での検品もできます。しかし、明治、大正、昭和初期に「これはA」「これはB」と検品すること自体が難しかったんじゃないかと思うんです。分かるとしても規格より大きい、小さいという程度でそこまでロスはでないんじゃないかなと。

――では、なぜビー玉と呼ばれるようになったと思いますか

代表:「ビー玉」という資料的な本にも書かれていますが、大正13年創業のビー玉製造会社「日本特殊硝子球工業株式会社」は、自社の製品を「ガラスマーブル玉」「ビードロ玉」と呼んでいたとされています。このことから、ポルトガル語でガラスを意味するビードロ玉が語源なのではないかと考えています。

 なお、倉敷鉱泉によるとラムネ瓶にはもともとコルク栓がされていたといわれており、ビー玉を使用するようになったのは、1872年のことなのだとか。イギリスのコルク会社でセールスマンをしていたハイラム・コッド氏が炭酸飲料を密封する画期的な方法の容器として発明したことがきっかけとのことでした。

 このように大阪のビー玉製造会社が「A玉」「B玉」と呼び始めた説や、ビードロ玉を語源とする説などさまざまな説が持ち上がった今回のビー玉語源騒動。「絶対にこれが正解」という確証を得ることはできませんでしたが、ビードロ説が有力なのかもしれません。

(Kikka)

最終更新:4/18(火) 23:03

ねとらぼ