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<銀行カードローン>残高急増、過剰融資を懸念

毎日新聞 4/17(月) 22:07配信

 銀行の個人向けカードローンの残高が急増し、過剰融資を懸念する声が強まっている。消費者金融並みの高金利である一方、貸金業法で定められた融資額の制限(総量規制)が適用されず、多重債務対策の抜け穴になりかねないためだ。銀行業界は3月に融資審査の強化を申し合わせたが、「自主規制でどこまで効果があがるのか」と厳しい視線が注がれている。

 銀行のカードローンの残高は、貸金業法改正で貸金業者に「年収3分の1まで」との総量規制が導入された2010年6月以降、急速に増加。16年末は5兆4377億円で、10年3月末比65%も膨らんだ。特に日銀が大規模金融緩和を始めた13年以降、各行は高い金利を得られるカードローンをこぞって強化。一部地銀にとっては主力商品に成長した。

 だが、急増するカードローンは「新たな多重債務の温床」との批判が強まっている。日本弁護士連合会が昨年6~7月にカードローン利用者を対象に実施したアンケート(153件)によると、貸金業者と銀行の合計借入額が年収の3分の1を超えていたケースは、約6割の95件に達した。さらに16年の自己破産申立件数は前年比1・2%増の約6万4600件で13年ぶりに増加に転じており、日弁連は「カードローン増加が影響している可能性が高い」と指摘する。このため日弁連は昨年9月、「借り手保護の観点から、銀行カードローンも総量規制すべきだ」との意見書を公表した。

 聖学院大政治経済学部の柴田武男教授は「実態は消費者金融と変わらないのに、銀行から借りることで利用者の抵抗感が減り、むしろ多重債務者を増やすことにもなりかねない」と問題点を指摘する。

 こうした声を受け、全国銀行協会は3月、各行が広告宣伝や審査体制を自己点検し、見直すと申し合わせた。小山田隆会長(三菱東京UFJ銀行頭取)は3日の記者会見で、「申し合わせを実効性のあるものにしたい」と強調。一方、総量規制に関しては「一律、機械的にというのはなかなか難しい」と慎重な姿勢を示した。金融庁も「自主規制の効果を注視する」として現時点では静観の構えだ。

 日弁連多重債務問題検討ワーキンググループの三上理(おさむ)事務局長は「マイナス金利で銀行の収益環境が厳しい中、高利の銀行カードローンの貸し出しが申し合わせだけで減るとは考えにくい。制度の見直しが必要だ」と指摘する。【小原擁】

 ◇キーワード・銀行のカードローン

 担保がいらない融資商品。資金使途は自由だが、企業の事業資金に転用できないと規定されている。金利は2~15%程度で、自動車ローンなど使途が限定された融資に比べ高い。大半の銀行は、消費者金融や信販会社などと保証契約(融資が焦げ付いた場合に肩代わりする契約)を結び、融資の審査や、焦げ付いた場合の回収(取り立て)を事実上委託している。

 過剰融資の問題に加え、「消費者金融から借りられない人も銀行から借りられる」と過度な借り入れを誘引する広告も問題視されている。金融庁は昨年10月示した行政方針で「貸金業者の経営実態、(銀行への)保証業務などで生じる課題を把握し、ヒアリングを実施する」としている。

最終更新:4/17(月) 22:48

毎日新聞