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<宮城スタジアム>車いす席増設「必要か」 県振興財団

毎日新聞 4/17(月) 22:45配信

 2020年東京五輪・パラリンピックの既存会場を対象に毎日新聞が行ったアンケート調査で、サッカー会場の宮城スタジアム(宮城県利府町)を管理する同県スポーツ振興財団が、大会組織委員会がまとめた指針に沿った車いす席の整備は「果たして必要か」と答えた。組織委の指針の半数ほどしか車いす席がない宮城スタジアムが増設に慎重姿勢を示した背景には、一部で車いす席の利用が進まない現状があった。【飯山太郎】

 宮城スタジアムの総座席数は立候補ファイルによると約5万席。現在の車いす席数は196席(常設104、仮設92席)で、総座席数に対する車いす席数の比率は0.39%となる。五輪会場の車いす席数の比率を0.75%とするよう求める組織委の指針「Tokyo2020アクセシビリティ(利用しやすさ)・ガイドライン」に対しては179席が不足している。

 02年サッカー・ワールドカップの会場の一つだった宮城スタジアムは、その後は日本代表戦3試合などが行われてきた。スタジアム所有者の県は「組織委の指針に沿った整備を進めたい」(スポーツ健康課)との姿勢だが、同財団は「(国際大会での車いす席の利用は)極めて少ない状況にある」と説明する。

 20年大会の都外会場の整備費の負担のあり方を巡っては、組織委や東京都、関係自治体の間で議論が滞っており、宮城県は東日本大震災からの復興という課題もある。指定管理者として現場を見る同財団は利用の少ない実態を踏まえ、車いす席数は現状でも「必要数は確保できるのではないか」と指摘する。

 同じくサッカー会場のさいたま市の埼玉スタジアムも車いす席数は150席で、比率は0.23%にとどまる。同スタジアムも含め、各既存会場の管理者らは車いす席の増設や、増設を検討する旨の回答を寄せている。だが、J1・浦和レッズの試合など多くのスポーツイベントが行われている中で、埼玉県の担当者は「車いす席が現行で足りないと言われたことはない」と説明する。

 これに対し、大会組織委の担当者は「高齢化社会が到来すれば、車いすに乗る高齢者も受け入れられるようになる」と指摘。車いす席をつくること自体が障害者のスポーツ観戦需要を掘り起こす可能性もあり「『鶏が先か、卵が先か』の議論だが、将来も見据えた車いす席の整備を」と呼び掛ける。

 障害者らでつくるNPO法人・DPI日本会議(東京)の佐藤聡事務局長は「駅のエレベーターや多目的トイレを思い出してほしい」と言う。駅などの障害者用エレベーターは現在、高齢者やスーツケースを持った外国人観光客、ベビーカーの親子連れにも使われるようになった。多目的トイレを家族連れで使う人も多い。そのため、佐藤さんはスポーツ施設の車いす席も同様だと考える。

 「障害者への配慮がさまざまな事情を抱えた健常者も安心して観戦できる環境整備につながる」【飯山太郎】

 ◇五輪・パラ会場、毎日新聞アンケート

 毎日新聞は、2020年東京五輪・パラリンピックの既存会場のうち、座席が常設されている施設を対象に車いす席などのアンケートや取材を実施。その結果、大会組織委の指針(車いす席比率が五輪で0.75%、パラで1~1.2%など)を満たしているのは五輪で15会場中3、パラで6会場中ゼロだった。

最終更新:4/17(月) 23:31

毎日新聞