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遺産分割における「預貯金」の扱いが変更に その影響と考え方とは

4/17(月) 5:37配信

マネーの達人

2016(平成28)年12月19日に最高裁大法廷が、預貯金と遺産分割に関する重要な決定を下したことはご存知でしょうか?

それは、これまでの預貯金と遺産分割についての法律的な考え方を改めたものでした。

その影響が現実に出始めておりますので、FPとして少しお話しておきたいと思います。

これまでの預貯金と遺産分割についての法律的な考え方

これまでは預貯金については原則、遺産分割の対象にはならずに被相続人の死亡と同時に相続により法定相続分で当然に法定相続人のものになるとされてきました。

それは条文こそありませんが、そう判断した最高裁判例が過去にいくつかあったからです。

注)原則としているのは、相続人全員が預貯金を遺産分割の対象とすることに合意した場合は遺産分割の対象とできるからです。

何故このような判断に至ったかといいますと、それは預貯金が現金(物権)とは違い、預金払戻請求権(可分債権)として扱われたのが理由です。

損害賠償請求権やその他の金銭債権と同様、可分債権は複数の人が取得する場合、頭数などに応じて当然に分割帰属する(共有とはならない)と考えられたわけです。

今回の決定では預貯金は「遺産分割の対象」とされた

上述の2016(平成28)年12月19日の最高裁大法廷決定では、これまでの考え方を改め、預貯金は遺産分割の対象とされました。

その理由を簡単にお話すると、以下のようになります。

・ 遺産分割では被相続人の財産をできる限り幅広く対象とすることが望ましいと判断されたため。
 
・ 実務上の観点からは、現金のように評価についての不確定要素が少なく、具体的な遺産分割の方法を定めるに当たっての調整に資する財産を遺産分割の対象とすることに対する要請も広く存在するため。(預貯金は現金に近いものと想起されるということ)

具体的に遺産分割がどう変わるのかを事例で説明しましょう

では、今回の案件を参考に前提条件を示します。

前提条件:法定相続人2人(仮にAさん、Bさんとします)
     法定相続分は1/2ずつ。
     相続財産 預貯金4000万円
          不動産(時価評価250万円)
     Bさんは被相続人から生前贈与として5500万円
     受けている。

■決定前の考え方での計算

□■Aさん■□

預貯金 2000万円(4000万円×1/2)※当然分割
不動産  250万円

合計 2250万円

□■Bさん■□

預貯金 2000万円(4000万円×1/2)※当然分割
生前贈与 5500万円

合計 7500万円

■決定後の考え方での計算

□■Aさん■□

預貯金 4000万円
不動産  250万円

合計 4250万円

□■Bさん■□

生前贈与 5500万円


決定前後の考え方の違いにより、決定後のほうが預貯金を遺産分割対象とすることで相続人間の公平をより広く実現できることとなっています。

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最終更新:4/17(月) 5:37
マネーの達人