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【インタビュー】映画『3月のライオン』大友啓史監督、「人生について考える青春映画を作った」

4/17(月) 11:28配信

トレンドニュース(GYAO)

羽海野チカの大ヒットコミックを神木隆之介主演で実写映画化した『3月のライオン』の後編が4月22日(土)に公開を迎える。前編では神木演じる桐山零をはじめ、登場人物のバックヤードが丁寧に描かれていたが、後編では、そんなキャラクターたちが、それぞれの思いを胸に大きく動き出す。前後編あわせて約4時間40分という大作に込めた思いを大友啓史監督に聞いた。

「3月のライオン」(後編)特別映像>>

■2部作にせざるを得ないほど魅力的なキャラクターたち

―― 非常に人気の高い原作コミックですが、読まれたときの率直な感想は?

大友: ただただ感動しました。長い時間をかけて綿密にリサーチして描いているということもあり、とても完成度の高い作品であるという印象でした。

―― そういった原作を映画化するのは大変なのでしょうか?

大友: 個性が強いキャラクターものではなく、僕らの日常の延長線上を描いている。地に足が着いている人を実写で描くのって違った意味で大変だなって思いました。

―― 本作は2部作でしたが、構想段階からすでに前後編というお考えだったのでしょうか?

大友: いえ。途中までは1本で開発していたのですが、脚本を書いている途中で「これは1本じゃ収まらないな」って思ったんです。原作には、主人公の周りの人物もしっかり用意されているし、魅力的なキャラクターが多い。中途半端に出すのはまずいし、それぞれの物語をしっかりと着地させようとすると、2本はいるなって思い僕から提案しました。
当初のイメージは前後編というよりも、単独の映画2本というイメージでしたね。パート1、パート2、それぞれが単独で成立しているという。そういう映画を2本作ろうと。

■壁ドンばかりが青春物語じゃない

―― 素晴らしい原作を実写化する上で、どこに重点を置いて描こうとされたのでしょうか?

大友: 零は孤独を抱えているのですが、その孤独がみんなに通用するものなのかを考えました。勝負師としての孤独というのは、誰もが共感できるものではないのですが、9歳で家族を事故で亡くしてしまった少年の、悲しみや孤独という部分には誰もが寄り添える。このスタート地点は大事にしました。その孤独によって、頼れるのは将棋だけになり、能力のすべてをそこに注ぎ込む。生きるために将棋を指すしかない。「将棋が好きか?」と聞かれれば「はい」というけれど、実は好きかどうかわからないという気持ちが、「僕は好きだ」と思えるまでになっていく物語をプランニングしようと思ったんです。

―― その部分が多くの人の共感を得られると?

大友: そうですね。考えてみると、仕事って主体的に選ぶのではなく、いろいろな偶然が重なって導かれることってありますよね。僕自身も映画監督になるなんて思っていなかった。零にとっても、自分で選んだわけではないけれど、彼には将棋しかなくて、ある意味しょうがなく打ち込んでいくのですが、それをひたすら継続し、相対する棋士たちと戦うことによって、彼の才能が鍛えられ、遂に開花していく。僕は、人が天から与えられた才能がしかるべき場所で、しっかりと発揮される物語って好きなんですよね。そこに至る努力や苦労も含めて、見ていて気持ちいいと思うんです。

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