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昭和電線ケーブルシステムと産総研など、電流特性4倍の超電導線材開発

4/17(月) 6:01配信

鉄鋼新聞

 昭和電線ケーブルシステム(社長・田中幹男氏)と産業技術総合研究所(理事長・中鉢良治氏)、成蹊大学(学長・北川浩氏)の3者は14日、強磁場中で流せる電流値を約4倍に高めた新たな低コスト型酸化物超電導線材を開発したと発表した。3テスラの磁場中で断面積1平方センチメートル当たり400万アンペアの大電流を抵抗ゼロで流せる。酸化物超電導線材は価格面で課題があったが、低コスト製法の線材で特性を大幅改善したことで本格的な実用化に貢献する。昭和電線では3~5年内をめどに新線材を量産化したい考えだ。

 新線材は磁場に強いイットリウム系。金属などでできた線に原料を溶かした液を塗って熱処理する工程を繰り返す、低コストの溶液法で製造している。溶液法は性能面で課題があったが製法や材料を改善。3テスラの高磁場かつ液体窒素温度の条件下で単位面積あたりに流せる電流値は世界最高値を記録して、材料を蒸着して製造する高性能な気相法を上回る成績を収めた。
 イットリウム系の線材は超電導層に電流特性を低下させる磁束運動を抑えるため「人工ピン」と呼ばれる非超電導体の粒子を分散させる。新線材は塗布と熱処理の回数を増やし、超電導の薄膜を多層で形成する製法。人工ピンの結晶が成長するスペースを制限し、微細化することで特性を大幅向上させた。また人工ピンの濃度や種類についても工夫している。併せて塗布と熱処理回数の増加で工程数が増えても、生産性を保ちコストの上昇を抑える原料の開発も現在進めている。現在は昭和電線で長さ5メートルまでの線材が生産でき、長尺化が可能な見通しを得ている。
 今後は産総研と成蹊大でさらに電流特性を改善させる技術を開発し、昭和電線に順次移管。昭和電線では早期の量産化を目指していく。産総研の和泉輝郎主任研究員は「超電導線材はさまざまな機器の小型化や省エネに貢献できるが価格が一つのネック。低コストプロセスでの特性改善は非常に意義が大きい」と話している。

最終更新:4/17(月) 6:01
鉄鋼新聞