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ボーイングやMRJにも。島津製作所の強みは機械加工と表面処理

4/17(月) 12:10配信

ニュースイッチ

防衛が8割。民間向け開拓へ航空機メーカーとの共同研究も

 島津製作所の航空機器事業では、フライト・コントロール・システムやエア・マネジメント・システム、コックピットのヘッドアップディスプレー(HUD)などの搭載機器を中心に展開している。売上高比率は防衛関連が80%、民間航空機関連が20%となっており民間部門の割合が低い。今後の市場規模、成長性を考えると民間分野の比率を高めることが航空機器事業の成長に欠かせない。

 民間航空機向けは、油圧、電動系のアクチュエーター、これらに関係する機械部品を手がけている。例えば、「ボーイング747―8」の高揚力装置を製造している。これは翼のフラップを動かすアクチュエーターで、翼の形状を変化させて飛行機の着陸時に揚力を増やす役割があり、低速での滑走路への進入が可能になる。同社とは1次請けや2次請けとなるケースがある。

 生産、修理は京都本社・三条工場と米国のシマヅプレシジョンインスツルメンツ(SPI、カリフォルニア州)で行っている。SPIは米ハネウエル向け製品と米ボーイングの一部製品の組み立て、修理、修理部品の販売を行っている。SPIでは部材の表面処理の設備を導入中だ。航空機部品は耐食性を求められ、複数回表面処理が行われる。今後は機械加工と表面処理を手がけて強みを出し民間分野の受注を伸ばす。

 航空機部品は軽さと強度が必要で、薄く、硬く、粘りがある材料を使うため加工も難しくなる。「MRJ」に採用されているラック&ピニオンという部品は、変形を見越し加工する必要があり難易度は高いが、ギアの加工は強みでもある。「生産できるのは、グローバルでも3―4社しかない」(安藤修専務執行役員航空機器事業部長)という。

 航空機メーカーは仕様を出し、設計から外部に任せる部品がある。こうした受注をするためにも航空機部品の設計力を高める必要がある。また部品受注にも設計図面を読む力、工程管理、製造技術が必要になり日常の積み重ねが欠かせない。新たな機種の受注に関わるには「10年以上先の航空機を見越して、航空機メーカーとの共同研究も重要になる」(同)という。

<取材メモ>
 島津製作所の航空機器事業の始まりは1936年(昭11)にさかのぼる。航空機器事業部設立からでも60年の歴史がある。ボーイングには76年に初納入し長い実績もある。航空機器事業の16年3月期の売上高は288億円。同社の航空分野が伸びることで、中小企業が加工の一部を担うなど航空機器分野への参入できる可能性も高まる。国内の航空機器産業の裾野の拡大にもつながる。

日刊工業新聞京都総局・水田武詞

最終更新:4/17(月) 12:10
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