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破竹の勢いテスラ株、真の値打ちは?

ウォール・ストリート・ジャーナル 4/17(月) 16:02配信

――WSJの人気コラム「ハード・オン・ザ・ストリート」

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 米テスラはあたかも、米国の自動車市場を間もなく征服しそうな勢いで時価総額が膨れ上がっている。しかし、実際にそうなるまでには、まだ乗り越えなければならない壁がある。

 テスラの株価は新シリーズ「モデル3」の発売を前に破竹の勢いを見せ、今年に入り約40%も上昇した。新興自動車メーカーながら時価総額は今やフォード・モーターやゼネラル・モーターズ(GM)と肩を並べる。この勢いをけん引しているのが、3万5000ドル(約380万円)で販売予定の量産型EVセダン「モデル3」だ。生産はこの夏にも開始される。

 ファクトセットによれば、テスラ株の2018年度予想に基づく株価収益率(PER)は271倍。一方でフォードの予想PERは7倍以下、GMは6倍以下だ。テスラは自動車業界をひっくり返すとの期待感からここまでバリュエーションが高くなっているが、大きな利益を上げればPERは低くなる。

 しかしテスラのPERが合理的な水準にまで下がるほど同社が利益をあげるためには、かなり大胆な仮定が必要だ。まず、テスラのバリュエーションがGMやフォードの10倍の水準であるべきだと仮定し、テスラの株価が今後も300ドル程度を維持するとする。さらに株式総数が変わらないと考えた場合、テスラは7億ドル(1株当たり4ドル29セント)の利益を上げている必要がある。

 参考までに、2016年の同社の販売台数は約7万6000台で、売上高は70億ドルだったが、最終損益は6億7500万ドルの赤字に終わっている。

 ここで仮定をしてみよう。テスラのイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)は、同社が2018年に50万台の車を生産できるとしており、強気なアナリストも同社が2018年に30万2000台を納車できるだろうとする。納車台数を38万台としてみよう。同社はモデル3だけでなく高価なモデルSやモデルXも販売するため、平均販売価格は1台5万ドルとしてみよう。そうなると、自動車の売上高は210億ドルを少し下回る。太陽電池やエネルギー事業からの売上高20億ドルをそこに加えてよう。

 テスラの年間営業利益率がプラスを記録したことは一度もない。しかしバッテリーのコストが下がり、規模の経済を実現できたとする。同社の営業利益率が昨年のGMとフォード2社の平均である5.4%を達成できれば、営業利益は11億ドルとなる。そこから2億ドルの支払利息を引き、残りの額に25%の税金をかける。すると純利益は7億ドル。これでPERはGMやフォードの約10倍となる。

 そこまでたどり着くため、テスラは販売台数を5倍に増やし、極めて効率的な競合企業に匹敵するような利幅を確保し、さらに新株発行は控える必要がある。これらのどれか一つでも条件が変われば(販売台数が減る、利幅が減る、販売価格が下がるなど)、2018年末までにPERが競合他社の10倍に近づくことはない。

 テスラに投資する人たちにとって、バリュエーションはこれまで意味のないものであり、2018年末でもそうかもしれない。同社が大きな収益を得るまで、投資家たちは2年ではなく5年程度は待つかもしれないだろう。あるいは大変革をもたらすテスラのような企業にとって、そもそもバリュエーションなど意味をなさないものだと考え続けるかもしれない。

 テスラの場合、財務状況よりも車そのものが輝いてきた。とはいえ合理的なバリュエーションを得たいのなら、それも間もなく変わる必要があるだろう。

By Charley Grant

最終更新:4/17(月) 16:02

ウォール・ストリート・ジャーナル