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朝比奈沙羅“父と中洲のバー”から下克上のV字復活

日刊スポーツ 4/17(月) 9:51配信

<柔道:世界選手権78キロ超級代表最終選考会兼全日本女子選手権>◇16日◇横浜文化体育館

【写真】決勝で田知本愛から有効を奪う朝比奈沙羅

 「柔道界の沙羅ちゃん」が初の世界切符をつかんだ。昨年12月のグランドスラム(GS)東京とGSパリで優勝した朝比奈沙羅(20=東海大)が決勝で田知本愛(28)に優勢勝ちを収め、初優勝した。1日の選抜体重別選手権(福岡)で1回戦負けに終わった屈辱を晴らした。大会後の強化委員会では世界選手権(8~9月、ブダペスト)の代表に初選出された。

 2週間前に号泣した朝比奈に笑顔が戻った。2年ぶりの優勝を狙った田知本に気後れすることなく突進。176センチ、135キロの体が前へ、前へ-。途中、左手のテーピングを口で破り、畳に投げ捨てた。「ハイ~ッ!!」。甲高い声を出し、闘志むき出しの攻撃を続けた。開始4分50秒、得意の払い巻き込みで有効を奪い、優勢勝ちした。

 「心身ともにきつい試合が続いたけど『ここで勝たないと世界はない』と思った。勝つしかなかった。これからは『世界は朝比奈に頼むぞ』と言ってもらえる選手になりたい」。前日15日の記者会見で田知本らを横に「世代交代の時期」と“下克上宣言”した通り、有言実行した。

 第1シードだった1日の選抜体重別選手権1回戦で同じ名前の山本沙羅(22)に敗退。悔しさから涙が止まらなかった。「あの時は心身ともにボロボロでした」。尊敬する父輝哉さん(49)ともケンカ中で悩みを抱えていた。試合後、福岡・中洲のバーで約1時間話し合った。「パパは過保護すぎる。もっと気の使い方を学んで」。初めて柔道4段の父親に反抗。これを機に親子の距離が縮まった。この日も観客席で大声援を送った父輝哉さんを何度も振り返りながら戦った。

 大会前、気持ちをリセットするために前髪を20センチ切りサイドを刈り上げた。試合直前もプールに入るなどしてリフレッシュ。「いつも通りの自分を出すだけ」と意識して臨んだ。目標は20年東京五輪の金メダル。「これからは得意を伸ばして苦手をつぶす。絶対に夢で終わらせない」。本当の戦いはこれからだ。【峯岸佑樹】

 ◆朝比奈沙羅(あさひな・さら)1996年(平8)10月22日、東京都生まれ。7歳で柔道を始める。東京・渋谷教育渋谷高2年で13年講道館杯全日本体重別選手権を制し、昨年で女子初の4連覇達成。14年世界ジュニア優勝。15年に東海大医学部を受験も不合格で体育学部に進学。麻酔医の父と歯科医の母を持つ。得意技は払い腰。趣味はヒップホップダンスと料理。176センチ、135キロ。血液型A。

最終更新:4/17(月) 11:01

日刊スポーツ