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鉄道駅に“太陽光+水素”でエネルギー供給、JR東日本が災害対策に

スマートジャパン 4/18(火) 9:10配信

 JR東日本は水素利用システムや再生可能エネルギー、省エネ機器など、さまざまな環境保全技術を駅に導入する取り組み「エコステ」を2012年から推進している。新たにこのエコステとして生まれ変わった駅が川崎市で誕生した。JR南武線の「武蔵溝ノ口駅(むさしみぞのくちえき)」だ。CO2フリーな水素を活用したエコステのモデル駅として、2017年4月17日にリニューアルした。

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 この取り組みはJR東日本横浜支社と川崎市が、2015年1月に再生可能エネルギーで製造した水素の利用促進に向け締結した連携協定に基づく取り組みである。川崎市は2015年3月に「川崎水素戦略」を策定しており、水素エネルギーの活用に向けた施策を強化している。

 JR東日本はエコステのモデル駅として、武蔵溝ノ口駅にさまざまな設備を導入した。省エネを目的にLED照明や高効率空調機器、壁面緑化システムを新たに導入した他、環境価値を駅の利用者に伝えるデジタルサイネージなども設置している。

 そして新たに導入した設備の中で、目玉となるのが太陽光発電を組み合わせる水素エネルギー供給システムだ。JR東日本では既に全国で5カ所の駅を“エコステ化”しているが、水素エネルギー供給システムを導入するのは、武蔵溝ノ口駅が初である。

 水素エネルギー供給システムは、東芝が販売している「H2One」を採用した。H2Oneは太陽光発電設備、蓄電池、水素を製造する水電気分解装置、水素貯蔵タンク、燃料電池、水素エネルギーマネジメントシステム(水素EMS)を組み合わせた自立型のエネルギー供給システムだ。太陽光発電による電力で水素を製造し、燃料電池で発電した電力、さらには排熱を利用して生成した温水を施設や設備に供給できる。

太陽光と水素でBCP対策に

 H2Oneを導入した狙いはBCP(事業継続計画)対策だ。武蔵溝ノ口駅は災害時に一時滞在場所としての利用が想定されている。H2Oneは地震などの災害時にライフラインが寸断された場合においても、系統電源に頼ることなく必要なエネルギーを自給自足できる。

 稼働イメージは以下の通りだ。駅の屋上に設置した太陽光発電から供給される電力で水素を製造し、水素タンクに貯蔵しておく。災害時には水素タンクの水素を使用して燃料電池で発電し、駅舎に供給して利用するという仕組みだ。太陽光発電の電力を一時的に貯めておく蓄電量や水素の製造量、発電量などはEMSで最適に制御される。

 非常時には駅のコンコースやトイレなど駅構内の照明用に電力を供給する予定だ。なお、平常時は駅ホーム上の照明に電力を供給する。お湯はホームの待合スペースに設置するウォームベンチの加温に利用する計画だ。

 JR東日本は車両下部の水素タンクから水素を供給し、燃料電池で発電した電力を利用する「燃料電池ハイブリッド鉄道車両」の開発を進めており、試験運行も行っている。既にドイツでは燃料電池を利用した鉄道車両が2018年に実用化される予定だ。駅のみならず車両走行にも水素が利用される日が近づいている。

最終更新:4/18(火) 9:10

スマートジャパン