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円安ストーリーに異変? 遠ざかる「日経平均2万円」今後の展開は

ZUU online 4/18(火) 17:10配信

日経平均は地政学リスクの高まりなどを背景に、3月24日にそれまでのサポートであった1万9000円を割り込むと、4月15日には1万8500円割れで年初来安値を更新した。1万8500円割れは16年12月7日以来約4ヶ月ぶり。トランプラリー後の上げ幅の約4割を失った。日経平均の今後を予想していこう。

■17年の日経平均の高値コンセンサス「年末2万1000円」

年末年始に証券会社のストラテジストが予想した17年の日経平均の高値予想では、大和証券の2万3000円、みずほ証券と野村證券の2万2000円などほとんどの証券会社の予想は2万1000円を超えていた。年末高予想が多かったので、市場のコンセンサスとしては、17年末に2万1000円という感じだった。

2万1000円ならアベノミクス後の15年6月高値2万952円を更新し、96年のバブル崩壊後の戻り高値を11年ぶりに更新する見通しだった。もちろん今年はまだ8ヶ月残っており、年末までに2万1000円に達する可能性が完全に消えたわけではないが、一度相場の見方を修正しておくべきだろう。

ストラテジストが高値更新の前提としてあげていたのは、米トランプ大統領のリフレ政策による世界景気の拡大期待、FRBの継続利上げで日米の金利差拡大による円安進行、日銀のETF買いと自社株買いに加え外国人投資家が買いに転じ株式需給が好転、などがメインだ。それぞれを検証してみよう。

■トランプ政権への期待縮小

今のところ世界景気拡大について陰りは少ない。OECDの3月時点での世界経済成長率見通しでは、16年の3.0%から17年は3.3%に成長が加速する。米国については同1.6%から2.4%へ、日本も16年の1.0%増から17年は1.2%と成長が高まる。

足下の経済指標も世界的に堅調だ。世界の景気の方向性を見るのによく比較される製造業のPMI指数(購買担当者指数)は、欧米、日本、中国など世界的に右肩上がりトレンドで景気は世界的な拡大期に入っているように見える。

前提が狂い始めたのは米トランプ政権の期待がしぼんできたことだ。オバマケア廃止が廃案となるなど、トランプ政権が公約していた政策はほとんど進行していない。法人減税、インフラ投資に関しても財源の問題もあり先延ばしされている状況だ。導入時期が遅れ、予想より減額されるようだと世界の金融市場にはネガティブに働かざるを得ない。

米景気拡大でFRBが年3回~4回利上げするというコンセンサスがあり、日米金利差拡大から円安が続くというのがメインシナリオだった。前述の今年のストラテジストの日経平均予想でも、ドル円の前提は大和証券やゴールドマン・サックスが安値で125円、みずほ証券120円を見ているなどほとんどが円安を予想していた。

一方、足下のドル円は、地政学リスクの高まりによるリスク回避の円買い、トランプ政権のドル高牽制発言などにより円安にトライし始めている。4月15日のNY為替市場では、ドル円は11月17日以降となる108円55銭まで買われた。

■期待の外国人投資家が「大幅な売り越し」に

2017年の日本株の下支え材料は、日銀によるETF買いが年間約6兆円、自社株買いが約5兆円見込まれている。加えて、昨年約3.7兆円売り越した海外投資家が買い越しに転じることで需給が好転することが期待されていた。

実際、トランプ大統領の誕生した16年11月以降17年1月までに外国人は日本株を約2.5兆円買い越した。その後、トランプ政権への期待がはがれはじめ、地政学リスクが高まりグローバルなマネーフローが縮小しはじめた。日本株にもポジション整理の外国人の売りが出はじめ、2月には約2500億円、3月には約1兆円を売り越した。

■バリュエーション、テクニカルでは底打ち示唆

日経平均のテクニカル的には底打ちを示唆し始めている。

騰落レシオ(25日移動平均)が4月14日で69%と売られすぎを示す70%を割り込んだ。大きなトレンドの反転を示すことの多いRSIも21.9%と30%割れの買いシグナルをだしている。25日移動平均との乖離もマイナス3.8%と短期的に反発することの多いマイナス4%に近づいている。いつ底打ち・反発してもおかしくはない状態にある。

17年1~3月の世界株式市場のパフォーマンスを見ると日本はロシアとともにマイナス。欧米主要国、エマージング市場などほとんどの国の株価指数がプラスの中で日本株の出遅れ感は際立っており、買いがはいってもおかしくはない。

バリュエーション面でも割安感がでてきた。4月中旬から17年3月期の決算発表が本格化する。前17年3月期に上場企業の最終利益は増益に転じる見込みであり、今期の新ガイダンスでも連続増益となる可能性が高い。

決算発表後に個別企業の予想EPSは17年3月期から18年3月期になる。今期6%程度の増益だとしても日経平均のEPSは1300円程度になる。1300円なら、4月14日時点での日経平均の予想PERは14倍程度となる。リーマンショック後の日経のPEは14倍~16倍で推移しており、平均は約15倍。フェアバリューはPE15倍だと1万9500円程度となる。日経平均のPERが14倍になるのなら、国内外の年金など長期資金が日本株をいつ買い始めてもおかしくない水準だ。

ただ、現在のドル円108円台と地政学リスクによる世界景気への影響を考慮して、大手企業が今期予想の決算ガイダンスを保守的に出してくる可能性も否定できない。企業業績が期待を下回るなら、日本株割安感は薄れる。

■地政学リスクとファンダメンタルズの綱引き

どんなにテクニカルやファンダメンタルズが改善しても、地政学リスクが高ければ、機関投資家が本格的に日本株買いに回ることも期待しづらい。02年~03年のイラク情勢緊迫、イラク戦争時に、世界の金融市場は長期的にリスクオフとなった。

日経平均は、02年11月にサポートであった9000円を割りこみ、03年4月に7600円安値をつけた。その後、9000円を回復するのは03年6月となり半年以上底練りの状態がつづいた。今回も地政学リスクがくすぶるのなら同じ状態になりかねない。

日経平均が上抜けるためには、地政学リスクが解消するか、米国が大型法人減税やインフラ投資を決め世界景気拡大期待が再び高まり、収縮した世界のマネーフローが拡大することが必要だ。

03年のイラク戦争時も、6月に日経平均が9000円を回復した後は11月に1万1000円まで一気に駆け上がった。ポイントはいつ情勢が変わり、サポートラインの日経平均1万9000円を奪回するかだろう。

平田和生(ひらた かずお)
慶應義塾大学卒業後、証券会社の国際部で日本株の小型株アナリスト、デリバティブトレーダーとして活躍。ロンドン駐在後、外資系証券に転籍。国内外機関投資家、ヘッジファンドなどへ、日本株トップセールストレーダーとして、市場分析、銘柄推奨などの運用アドバイスをおこなう。現在は、主に個人向けに資産運用をアドバイスしている。

最終更新:4/18(火) 17:10

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