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県内昆虫の図鑑刊行 茨城生物の会・昆虫同好会

茨城新聞クロスアイ 4/18(火) 15:00配信

茨城生物の会(小菅次男会長)と茨城昆虫同好会(野崎武会長)は、本県内に生息する昆虫を詳しく解説した「茨城の昆虫生態図鑑」(メイツ出版)を刊行した。編集の中心を担った茨城生物の会の小菅会長(80)は「昆虫を捕るだけではなく、子どもや親が名前を調べたり、標本にしたりするなど記録に残す際の手引きになってくれればいい」と話す。


同図鑑では、県内で身近に見られる832種の昆虫の特徴や生息環境などを990枚の生態写真と合わせて紹介している。1934年に国指定天然記念物となった笠間市片庭のヒメハルゼミや、71年に涸沼で最初に発見されたヒヌマイトトンボなど本県を代表する種はもちろん、カブトムシやクワガタムシなど、子どもに人気の昆虫も多数掲載。体長や成虫の出現期、分布なども見やすく表示し、手軽に持ち運べるB6判サイズに仕上げた。

両会の専門家が昆虫の特徴を分かりやすく撮影した生態写真は、種によっては雄雌、羽の裏表、幼虫なども掲載されている。ヒメハルゼミやヒヌマイトトンボ、チョウの一種で絶滅危惧種に指定されているチャマダラセセリなどは、貴重な羽化の様子も収めている。 「山の中でマムシに遭遇したり、蚊に刺されながら何日も通い詰めて、ようやく撮影できたものもある。夜中に何年も通って、やっと撮れたという人もいる」と小菅会長は撮影の苦労を語る。

本県内に生息する昆虫に特化した図鑑の出版は、85年に茨城昆虫同好会が手掛けた「茨城の蝶」と「茨城の昆虫」以来。温暖化の影響などで昆虫の生息環境も変わり、85年当時には本県内で見られなかった種が増えた一方で、現在はほとんど見ることができなくなり、絶滅危惧種に指定されている種もあることから、両会がより多くの昆虫を紹介しようと協力し、約30年ぶりに発刊した。

両会は、県内の生物や昆虫の動向などを調査し、自然環境の保全に取り組んでいる。小菅会長は「以前は九州でしか見られなかった昆虫が、今では茨城で飛び回っている。茨城で冬を越せなかった昆虫が、今は冬を越せるということは、かつての九州と今の茨城の冬の気候が似たようになっているということ。昆虫の動向から自然環境を知ることもできる」と話し、「この図鑑をきっかけに、自然環境にも関心を持ってほしい。いろいろなことを調べて自然をよく知ってもらい、自然環境の保全を考えてもらいたい」と呼び掛けた。

同図鑑は1944円、256ページ。県内の書店で購入できる。問い合わせはメイツ出版(電)03(5276)3052。 (勝村真悟)

茨城新聞社

最終更新:4/18(火) 15:03

茨城新聞クロスアイ