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世界すべての地域で「企業見通し改善」 フィデリティ グローバル調査レポート 2017

ZUU online 4/18(火) 17:10配信

フィデリティから今年も「フィデリティ グローバル調査レポート 2017」が発表された。この調査レポートは公表データや公式指標に基づいて行われる各産業のマクロ経済的な見通しではなく、フィデリティのアナリストが1年間で約1万7000回に及ぶ企業インタビューと、それを踏まえた独自の分析結果が公表されている。

■全ての地域と業種で「企業見通し改善」

アナリストの総合センチメント・スコアによると、2016年と比較して全ての地域と業種で企業見通しが改善されている。地域別では米国や中国を始め、エマージング欧州・中東・アフリカ・中南米などで特にセンチメント・スコアの改善が見られ、業種別ではエネルギー分野、素材等が大きくスコアを伸ばした。

経営者の景況感も大幅に改善している。企業収益の伸びに最も貢献している要因について、各業種の最高経営責任者は2016年の調査ではコスト削減やコスト効率が44%と企業努力を真っ先に挙げていたのに対し、2017年の調査では市場の伸び・最終需要の伸びが47%と、企業努力ではなく最終需要の伸びに強い自信を示している。

自己資本利益率についても多くの業種で改善する予想がみられる。特にエネルギーや素材の分野でその改善傾向が顕著だ。設備投資についても底打ちの兆しが見えている。

アナリストの半数以上が設備投資が増加する可能性があると回答しており、ここ3年間で初めてのこと。ただし中国の担当アナリストは、中国では設備投資がさらに減少すると予測している。中国は現在、投資・輸出主導型の成長から消費主導型の成長モデルに移行する過程であるため、設備投資の減少も予想の範囲内であると言える。

■世界市場動向 先進国は企業の強みが復活

世界の市場動向についてまずは先進国から紹介しよう。フィデリティのアナリストは先進国において企業の強みが復活していると見ている。

世界経済はここ数年間、先進国が牽引しており、新興国経済が急速に回復するにしても先進国主導の体制がすぐに変わるような兆候はないという。

米国では特に企業経営者の景況感の改善が顕著にみられる。半分以上のアナリストが企業経営者の景況感が改善すると見ており、90%以上のアナリストが自己資本利益率は安定するか、または上昇すると予想している。減配の予測をするアナリストはほぼいない状況だ。しかしこのような成長が途切れる可能性も示唆している。3分の2近くの米国のアナリストが創造的破壊により、アメリカ経済に大きな影響が及ぶと考えている。

欧州に関しても景気回復は2017年も継続すると予想されているが、米国ほど広範囲にわたらないだろうとみられている。ほとんどの欧州のアナリストは企業経営者の景況感が今後1年間にわたって大きな変化はないと考えている。企業の自己資本利益率に関しては4分の1のアナリストが、コスト削減や需要の拡大によって上昇すると予想するが、一方で4分の1のアナリストは、価格決定力の欠如や需要の拡大不足等により、低下する恐れがあると考えている。

日本の市場動向に関してはセンチメント・スコアが他の先進国と比べてやや中立的だ。理由としてはアベノミクス改革の低迷や日本版スチュワードシップ、コーポレート・ガバナンス・コード、自己資本利益率重視の改革が道半ばであることが挙げられる。ただし金融や財政、企業におけるリフレ的な政策が効果を示している兆候もある。

ほとんどの日本のアナリストは、企業の設備投資の増加や増配を予想しており、90%のアナリストがコストの効率化により自己資本利益率が安定または上昇すると予想している。賃金に関しても上昇するとみているアナリストも全体の3分の2ほど存在する。雇用に関してもどの地域よりも拡大すると多くのアナリストが予想している。

■新興国市場動向 コモディティ価格の回復で経済への圧力軽減

エマージング欧州・中東・アフリカ/中南米においては、米ドル高の進行が新興国市場の金融市場に悪影響を与える可能性があるものの、原油やコモディティ価格の回復により、新興国市場の経済に対する圧力は軽減されている。アナリストは企業経営者の景況感や設備投資、配当支払いが縮小に向かっていることはなく、回復していると述べている。

中国では2年間にわたって軟調な経済指標が続いていたが、特に自己資本利益率やバランスシートの健全性が以前より安定していること等からアナリストは中国に対する懸念は幾分か緩和されたと述べている。世界的に債務の増加や保護貿易主義の脅威が迫る中、中国のハードランディングの懸念は大幅に後退していると考えられる。

日本と中国を除いたアジア・パシフィック地域では大小さまざまな国が存在しており、それぞれの国によって経済動向が異なるが、フィデリティの調査によると、この地域全体にわたり企業のファンダメンタルズが改善している。特にインドでは長期的に6%または7%前後の経済成長率を維持する可能性を指摘している。

世界的にみても景気回復・上昇の期待が高まる中、保護主義経済の台頭や地政学的リスクなどにも注意が必要だ。不透明感も広がる中で、レポートでは2017年は変化の年になる可能性があると予想されている。今後の世界経済の動向について注意深く見守る必要がある。(右田創一朗、元証券マンのフリーライター)

最終更新:4/18(火) 17:38

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