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<AV問題>強要排除へ第三者機関発足 業界改善促す

毎日新聞 4/18(火) 11:37配信

 アダルトビデオ(AV)への出演強要や意に反する内容の撮影などを問題視した報告書を人権団体が公表してから1年。AV業界に提言を行う第三者機関「AV業界改革推進有識者委員会」が4月に発足し、17日に会見が行われた。大学教授や弁護士ら有識者4人で構成され、出演強要を防ぐ仕組み作りについて提言を行う。業界の改善に大きな期待が寄せられる一方で、規則には法的拘束力がなく課題も残る。【中嶋真希】

【写真特集】「AV業界改革推進有識者委員会」の提言と規則

 同委員会の代表委員は、「芸術と法」が専門の志田陽子・武蔵野美術大学教授。企業が不祥事を起こした際に調査を行う「第三者委員会」とは違い、第三者として業界に提言し、健全化に導くことが目的。対象は委員会が定めた「適正AV」。業界団体であるNPO法人知的財産振興協会(IPPA)に加盟するメーカーが制作し、自主規制団体の審査を受けた作品が対象で、海外から配信される無修正動画や、違法な児童ポルノ等は除外される。

 東京都内で開かれた会見では、同委員会が制定した「業界が守るべき規則22条」について説明。「自己決定権」を尊重し、自ら出演を望む女優とだけ契約するのを徹底すること、出演者らの精神面の健康が損なわれないよう注意すること、出演料など金銭面において不透明なやりとりをなくすことなどが掲げられた。

 また、委員で表現問題に詳しい山口貴士弁護士は、女優へのインフォームドコンセント(十分な説明に基づく同意)が重要になると提言。出演契約する際は口頭で説明するのではなく書面を用意する▽女優が事前にシナリオを吟味して出演するかどうかを決める時間を与える▽出演拒否をためらわせる違約金をなくす--などを業界に求めていくと話した。

 ◇法的拘束力はなし

 課題もある。同委員会の規則には法的拘束力はなく、違反しても罰則は業界団体から外される程度だ。これに対して山口弁護士は、「適正AV」とそうでないアダルト動画との線引きをはっきりさせることで「女優を非合法業者から守ることができる」と言う。また、提言の対象外である非合法業者への対応については、警察に取り締まりを任せるという考えだ。

 ◇業界の取り組み初の提示

 強要問題の表面化後、業界側の動きとしては2016年7月、元AV女優の川奈まり子さんが、AV出演者をサポートし業界の健全化を図る団体「表現者ネットワーク(AVAN)」を設立。本人の意思が尊重される統一契約書の作成を目指したほか、引退後の女優の職探しを支援する活動などをしている。

 こうした動きに注目が集まる一方で、AVメーカー側からは、具体的な改善策が発表されていなかった。同委員会は、業界全体としては初めて具体的に提示された健全化への取り組みと言える。

 川奈さんは、第三者機関発足について「AVANで実現が難しかった契約の整備や出演料の透明化などを進めていってもらいたい。『適正AV』という概念も広がってほしい。これまで審査を受けてこなかったメーカーも、(適正AVとして認められるために)積極的に審査を受けようという動きも出るのではないか」と今後の活動に期待を寄せた。

最終更新:4/18(火) 11:41

毎日新聞