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<EU>機関移転で誘致合戦…離脱の英に本部、欧州医薬品庁

毎日新聞 4/18(火) 15:00配信

 ◇21カ国が名乗り

 【ブリュッセル八田浩輔】英国の欧州連合(EU)離脱を巡り、ロンドンに本部を置くEUの欧州医薬品庁(EMA)の移転先として、英国を除くEU加盟27カ国中21カ国が名乗りを上げていることが分かった。EMAが取材に明らかにした。製薬業界の欧州拠点の配置見直しにも影響する可能性があり、英国内最大のEU機関の移転を巡って誘致合戦が本格化している。

 新薬の承認審査や市販後の安全性確認などEU圏の薬事規制を統括するEMAは、英国内にあるEU機関のうち最大規模。約900人の職員を抱え、英国籍約50人については離脱後の処遇が固まっていない。移転は英EUの離脱協議の対象事項の一つで、移転先はEU加盟国の合意で決まる。

 EMA側に誘致の意向を伝えているのはフィンランド、スペイン、スウェーデンなど21カ国。国内で複数の都市が手を挙げる例もある。英語圏でロンドンから比較的近く有望視されるダブリンへの誘致を公言するアイルランドのハリス保健相は「真の競争相手は6~7カ所」だとし、「あらゆることをする準備がある」と強調する。イタリア政府は元EU担当相を誘致担当の責任者に任命した。

 日本企業も含めて英国に欧州拠点を置く製薬企業は多く、約70万人の雇用を抱える。業界は英国の離脱で長期的な欧州戦略の見直しを迫られており、配置見直しにもつながることが誘致合戦を過熱させている。

 離脱後の英国の薬事規制も焦点だ。仮に英国が独自の規制を導入すれば、EUと英国で新薬の承認申請に求められるデータに違いが出るなどして企業側の負担が増し、患者にも影響が出る。EU残留を支持していた業界団体の欧州製薬団体連合会(EFPIA)は、不確実性を最小限に抑えるよう求める声明を発表した。

 EMAの広報担当者は取材に、EMAは移転先の選定に関与しないとしながら、「必要条件」として内外から来訪する年間3万6000人の研究者らのための交通の便や周囲の宿泊施設の充実が望ましいと説明。国籍が多様な職員の家族のため、インターナショナルスクールや配偶者・パートナーの雇用環境も重要事項だとした。

最終更新:4/18(火) 15:40

毎日新聞