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エントリー向けNASキット4製品を徹底比較 組立・セットアップ編

ITmedia PC USER 4/18(火) 14:23配信

 NASの便利さが広く知れるようになったことで、いまホットなジャンルになりつつあるのが、HDDを自分で組み込む「NASキット」だ。これまでは海外メーカーの独壇場だったが、2016年からはHDD組み込み済みの製品しか発売してこなかった国内メーカーも製品をリリースするなど、国内外のメーカーが入り乱れての激戦となりつつある。

【写真:各NASの組み立て手順】

 今回は各社が発売している2ベイのエントリー向けNASキット4製品を用意し、セットアップから実際の使い勝手に至るまで、違いを徹底比較する。これら製品は外見やサイズ、価格帯も非常に似通っており、製品の仕様だけを見るとどれを選んでよいか迷うことも多い。本稿が製品選びの役に立てば幸いだ。

 第1回では、パッケージを開封してからHDDを組み込んでNASとして完成させるまでの「組み立て」および、ソフトウェアのインストールを行ってネットワークに組み込み、PCから読み書きできるようにする「セットアップ」の2つの工程について、それぞれ5点満点、合計の10点満点で評価を行う。

●徹底チェックする4製品はこちら

 本編に入る前に、まずは各社の製品をざっと紹介しておこう。今回は2ベイに対応したNASキットのエントリーモデルという条件で製品をチョイスしている。ラインアップの幅は各社によって異なっているので、エントリーモデルという位置付けでも性能には差があることに注意してほしい。またモデルチェンジの関係などで、現在の売れ筋モデルではなく、新製品をチョイスしている場合がある。

・Synology「DS216j」

 同社のエントリーモデルで、日本向け製品として型番末尾に「j」が入っている。プロセッサはMarvell Armada 385 88F6820(デュアルコア 1.0GHz)、メモリは512MB、LANポート×1、USB 3.0ポート×2を搭載。ハードウェア暗号化にも対応している。実売価格は2万円前後から2万円台前半。

・QNAP「TS-231P」

 個人のほか、SOHO利用も視野に入れたエントリーモデルと呼ぶにはやや上のスペックの製品。CPUはAnnapurnaLabs Alpine AL-212(デュアルコア 1.7GHz)、メモリは1GB、LANポート×2、USB 3.0ポート×3を搭載。HDDはカートリッジ式で前面から出し入れが可能だ。実売価格は2万円半ばから2万円台後半。

・ASUSTOR「AS3102T」

 HDMIコネクターを搭載し、外部ディスプレイへの直接出力が可能なマルチメディアユースに強みを持つモデル。CPUはIntel Celeron(デュアルコア 1.6GHz)、メモリは2GB、LANポート×1、USB 3.0ポート×3を搭載。ハードウェア暗号化にも対応している。実売価格は2万円台後半から3万円台前半。

・アイ・オー・データ機器「HDL2-AA0/E」

 国内メーカー製のNASでは珍しいキットタイプのモデル。CPUはMarvell Armada382(デュアルコア 1.33GHz)、メモリは非公開、LANポート×1、USB 3.0ポート×1、USB 2.0ポート×2を搭載。他の3機種と違ってHDDを縦向きに挿入する構造だ。実売価格は2万円前後。

●その1:組み立て

 NASキットはHDDが内蔵されていないため、自分で用意して組み込む必要がある。上位モデルはカートリッジ方式の採用していることが多く取り付けも容易だが、今回紹介するエントリークラスの製品はコストを下げるため、本体を分解してネジで取り付ける仕組みを採用していることが多い。

・Synology「DS216j」の組み立て方法

 本体のカバーをスライドさせて外し、レールに沿ってHDDを装着しネジ止めする。その後、カバーを元に戻してネジ止めして完成させる。HDDと本体それぞれにネジ止めが必要なため、プラスドライバーを用意しなくてはいけないが、手順そのものは容易で間違えようがない。5点満点で4点。

・QNAP「TS-231P」の組み立て方法

 本体正面からカートリッジを引き出し、HDDをネジ止めする。その後、HDDを装着したカートリッジを元に戻せば組み立て完了だ。他製品のように本体カバーを外さなくともカートリッジ式で組み立てが容易なのは大きなメリット。ただしネジ止めは必要なため、プラスドライバーを用意しなくてはいけないことに変わりはない。5点満点で4点。

・ASUSTOR「AS3102T」の組み立て方法

 本体のカバーをスライドさせて外したのち、レールに沿ってHDDを装着しネジ止めする。その後、カバーを元に戻してネジ止めして完成させる。SynologyのDS216jとほぼ同じ構造だが、こちらは指先で締められるネジを採用しているため、プラスドライバーを用意しなくても組み立てられることが大きな特徴。5点満点で5点。

・アイ・オー・データ機器「HDL2-AA0/E」の組み立て方法

 キットに含まれるHDD取付金具にHDDをネジで取り付けたのち、NAS本体の上フタを外してHDDを挿入し、上フタを元に戻せば組み立て完了だ。金具のネジ止めは多少煩わしいが、本体はネジ止めの必要もなく、はめ込むだけで済むので組み立て自体は容易だ。2基のHDDを背中合わせの向きセットする点に注意。5点満点で4点。

●組み立ての総評

 4製品の中で唯一カートリッジ式を採用するQNAPのTS-231Pは、本体を分解しなくて済むメリットはあるものの、カートリッジの利点が生きるのは運用開始後のドライブ交換の時だ。初回の組み立てにおいては、指先で締められるネジを採用したASUSTORのAS3102Tのほうが利便性は高い。とはいえ、後述のセットアップ手順に比べると4製品ともそれほど大きな差はなく、どの製品を選んでもとくに困ることはないだろう。

●その2:セットアップ

 NASキットは自分でHDDを組み込むことから、OSのインストール作業は自力で行う必要がある。この工程がどれだけ自動化されているかが、導入のしやすさに直結する。またメーカーによってはソフトウェアをインストールしただけではユーザーおよび共有フォルダが作成されない場合もあるため、今回はPCのエクスプローラからファイルの書き込みができるところまでをセットアップの工程と見なして比較する。

・Synology「DS216j」のセットアップ方法

 Webブラウザを開き、「find.synology.com」と入力すると画面上にNASが表示される。画面の案内に従ってソフトウェアのダウンロードとインストール、設定を行う。PC側にソフトウェアをインストールしなくともWebブラウザ上でNASが見つけられるのは手間いらずで便利。所要時間もほんの数分ほどで、PCに張り付いてセットアップしなくてはいけない時間も少ない。5点満点で5点。

・QNAP「TS-231P」のセットアップ方法

 同社Webサイトにアクセスし、ユーティリティーソフト「Qfinder Pro」をダウンロードしてPCにインストール。起動してスキャンすると対象のNASが表示されるので、画面の案内に従っていくだけで、ソフトウェアのダウンロードからインストール、設定まで全ての作業が完了する。所要時間は15分程度。手順はSynologyに酷似しているが、ユーティリティーのダウンロードとインストールが必要な分だけ手間が掛かる。またSynologyやASUSTORでは自動設定される項目を1つずつ確認していくため、画面遷移の数はやや多め。5点満点で3点。

・ASUSTOR「AS3102T」のセットアップ方法

 同社Webサイトにアクセスし、「コントロールセンターユーティリティ」をダウンロードしてPCにインストール。起動してスキャンすると対象のNASが表示されるので、画面の案内に従っていくだけで、ソフトウェアのダウンロードからインストール、設定まで全ての作業が完了する。所要時間は10分程度。

 手順はSynologyに酷似しているが、コントロールセンターユーティリティのダウンロードとインストールが必要な分だけ手間が掛かる。全体的な分かりやすさについて遜色はない。5点満点で4点。

・アイ・オー・データ機器「HDL2-AA0/E」のセットアップ方法

 同社Webサイトにアクセスし、製品本体背面のシールに書かれたシリアルナンバーを入力してファームウェアをダウンロード。その後ダウンロードしたファイルを解凍して生成された2つのファイルを別途用意したUSBメモリにコピーし、本体全面のUSBポートに挿入した状態で電源を入れることで、ファームウェアがインストールされる(所要時間はおよそ5分)。

 終了すると電源が自動的に切れるのでLANケーブルを接続して再起動し、ブラウザからログインして初期設定ののちユーザーを追加、共有フォルダへのアクセス権限を追加して初めて書き込みが行えるようになる。所要時間の長さ、煩雑さともに他の3製品の比ではなく、またUSBメモリも自前で用意する必要があるなど、あらゆる点で改良の余地がある。5点満点で1点。

●組み立て・セットアップ編の総評

 Synology、QNAP、ASUSTORの3製品はデスクトップを模したウェブインタフェース画面を採用しており、インストール手順も酷似しているが、PC側にソフトウェアをインストールしなくとも全ての操作を完結させられるSynologyに一日の長がある。

 アイ・オーは手順の煩雑さもさることながら、操作を間違った際にそのことを知る手段がLEDしかないのも難点で、PCのスキル以前に相当な忍耐力を必要とされる。

[山口真弘,ITmedia]

最終更新:4/18(火) 14:23

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