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外国人技能実習制度に追加された「介護」…「ハードル高すぎる」理由は?

読売新聞(ヨミドクター) 4/18(火) 12:11配信

 介護現場への外国人の受け入れ拡大に向けた動きが、本格化している。外国人技能実習制度の改正で、対象職種に「介護」が加わるからだ。制度本来の目的は、アジアなどの発展途上国に日本の優れた技術を移転することだが、深刻な人手不足に悩まされている介護業界では、担い手を確保する新たな手段として関心が高まっている。

 「受け入れが可能なのは、設立後3年以上の施設です」「訪問介護の現場で働かせることができません」。3月上旬、東京都内で開かれた外国人技能実習制度に関する介護事業者向けセミナーでは、企業や社会福祉法人などの担当者約30人が真剣に耳を傾けていた。

 主催したのは、中国やベトナムなどで医療介護の人材育成を行うコンサルティング会社「アイメイド」(東京都)。荻野健社長(52)は「ベトナムでは看護師資格を取っても病院に就職できない人が大勢いる」とし、専門性のある人材が日本を目指す可能性があることを指摘する。

 実習生を1人採用するには、研修費や旅費などを含め、3年で約200万円が必要になるという。それでも、浜松市などで認知症グループホームを運営する企業の男性担当者(43)は「職員を募集しても集まらない時代に、外国人は重要な担い手。前向きに検討したい」と話す。

深刻な人材不足

 重労働な割に低賃金というイメージがつきまとう介護業界では、人手不足が深刻だ。将来の介護業界を担う人材を育てる介護福祉士養成校は、定員に対する入学者が全国平均で5割を切っている。厚生労働省の推計では、少子高齢化の影響もあり、2025年に全国で約38万人の介護職員が不足する見込みだ。

 そうした中、従来は建設、食品製造など74職種で実施されてきた技能実習制度が、介護にも拡大される。来年中には、現場に実習生が登場するとみられる。同省は「狙いはあくまで海外への技術の移転。人材不足解消は別の話だ」とする一方で、「不足する人材を外国人で補おうという考えが現場にはある」と認める。

 対人サービスへの制度導入は初めてだ。入浴や食事の介助などを行うには利用者や職員との意思疎通が大切なため、実習生には他の職種にはない日本語能力の条件が設けられた。

 具体的には、来日時に「基本的な日本語を理解することができる」レベルが求められる。2年目は、その一つ上の「日常的な場面で使われる日本語をある程度理解することができる」レベルが求められる。その水準に到達できなければ帰国しなくてはいけない。

 「ハードルが高すぎる」との声もあるが、条件の厳しさには理由がある。

 現場には、実習生の導入でサービスの質が低下することへの懸念もある。介護業界のイメージが悪くなれば、日本人からさらに敬遠されて人材が確保できなくなる恐れがあるからだ。

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最終更新:4/18(火) 12:11

読売新聞(ヨミドクター)