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諫早干拓判決「司法、国にすり寄り」開門実現厳しく怒り 阻止派は「判断定着」安堵

佐賀新聞 4/18(火) 10:46配信

 「開門命令」の確定判決から6年以上過ぎても、実現への道のりは険しさを増す結果となった。開門を認めなかった17日の長崎地裁判決。漁業者ら開門派は「裁判所は国にすり寄っている」と怒り、営農者ら開門阻止派は「開門を認めない司法判断は定着した」と安堵(あんど)感を漂わせた。4月で潮受け堤防閉め切りから20年。開門の是非を巡って両者の溝が埋まる手だてはなく、混迷は一層深まった。

 法廷で判決主文に聴き入った藤津郡太良町の漁業平方宣清さん(64)は「司法は守ってくれず、このままでは漁業者は消えてしまう。その時に裁判官はどんな顔で有明海に向き合うのか」と強い憤りを覚えた。

 開門しても漁業者と干拓地の営農者は共存できると訴えても、相手からは「きれいごと」と一蹴されてきた。「同じ1次産業を担う立場として対話しないのは残念。生活を守るためにも何とか解決へ向かってほしい」と声を振り絞った。

 訴訟で補助参加人の開門派が開門による漁場環境改善の効果を訴えても、国の主張に抵触するのを理由に不採用にされた。開門の被害を最小限にする資料を国は示しながら、訴訟で証拠に追加しなかった。開門派の馬奈木昭雄弁護団長は声を荒げた。「国と司法のなれ合いで国が勝てる主張を認めず、われわれの主張も妨害し、到底許されない」

 開門したくない国は控訴しないのではないか-。開門派は判決前から不信感を募らせていた。馬奈木団長は「有明海再生は開門しかなく、解決も話し合い以外にない。国は控訴して高裁で再び和解協議に持ち込み、誠実に対応するよう求める」と強調した。

 一方、開門阻止派は判決後、強い雨の中、地裁前で「差止判断三度続く」との旗を掲げた。山下俊夫弁護団長は、開門差し止めを認めた2度の仮処分の判断も踏まえて「司法の場で開門してはいけないと決定付けられた」と評価した。

 高裁での和解協議の可否について、山下団長は「和解による解決が望ましいが、開門しないことを前提としない限りは席に着けない」。その上で「国は『開門せずに解決する』方針にかじを切る時期」と指摘し、漁業環境の改善策などを漁業者側に提示して早期解決するよう要求した。

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最終更新:4/18(火) 10:46

佐賀新聞