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ピーク時は571人が暮らした「テント村」野口健さん振り返る 熊本地震

西日本新聞 4/18(火) 12:10配信

 熊本地震の避難場所として熊本県益城町にテント村を開設していた登山家の野口健さん(43)が17日、当時の体験をまとめた著書「震災が起きた後で死なないために」(PHP新書)を出版した。「テント村が避難における選択肢の一つになるように書き残したかった」との思いを込める。

 「熊本、やります。まずはテントを集めます!」。昨年4月19日、ツイッターでつぶやいたのが支援の始まりだった。活動に賛同するNPO法人や自治体と連携してテントを運び込み、5日後には町の総合運動公園にテント村を開設した。「車中泊対策のつもりだったが、避難所から移ってくる人もいた。プライベートな空間があり、周囲への騒音に神経質になる必要もない。特に子どもがいる家族に喜ばれた」と振り返る。

 テント村にはヒマラヤ登山のベースキャンプのイメージを重ねた。「いかに心身をリラックスできるかを考えるんです」。簡易ベッドの支給やトイレ増設に加え、避難者の自炊も認めた。約40日間にわたりテント156張りを設置、ピーク時は571人が暮らした。

 行政や施設管理者との確執、責任の問題…。最終的には梅雨時期の水害の懸念を理由に閉村を求められた。要請を待たずに支援する「プッシュ型支援」の重要性を感じつつ、うまくいかないもどかしさもあった。「民間人が突然『テント村をつくる』と言っても受け入れてもらえない。自治体側もパニック状態だし、その気持ちも分かる」と振り返り、テント村の認知度を上げる必要性を強調する。

 地震から1年。「人間はつらいことは忘れたいし、危機感は長く続かない」と考えるからこそ、レジャーとして日常的にアウトドアに親しむことを提唱している。「この本が次に来るかもしれない震災への備えにつながってほしい。次はもっと完璧なテント村ができるはずです」。同書は950円。

=2017/04/18付 西日本新聞朝刊=

西日本新聞社

最終更新:4/18(火) 12:10

西日本新聞