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【数字で読み解く】漆流通98%が外国産… 原木確保や人材育成図る産地・二戸

デーリー東北新聞社 4/18(火) 15:00配信

 英語名で「japan」と呼ばれ、日本の文化を代表する漆。しかし、現状に目を向ければ、国内で流通する漆のほとんどが外国産。国産漆は生産力が落ち込んだままだ。漆文化の再興は、国内生産の6割以上を担う二戸市浄法寺町にかかっているといえる。

 2014年の国内消費量4万3248キロのうち、中国やタイ、ミャンマーなどからの輸入量は4万2245キロで、約98%を占める。対する国産漆の生産量はわずか1003キロで、1951年の3万3750キロと比べると激減ぶりは歴然だ。

 外国産優勢の要因は価格にある。中国産が14年に1キロ当たり5459円だったのに対し、国産は約9倍の4万8千円。良質だが価格が高い国産を使う製品は少なく、国宝の修理でさえ外国産を多く混ぜた漆が使われた。さらに漆器代わりのプラスチック製品や合成樹脂塗料にも押され、需要は右肩下がりが続いた。

 同市漆産業課によると、浄法寺漆も在庫を抱えたため、生産調整を余儀なくされた。天候による不作も重なって、13年にはついに生産量が千キロを切った。

 そんな危機的状況に転機が訪れた。国産漆の生産減少に歯止めをかけるべく、文化庁は15年2月に都道府県教委に対し、国宝や重要文化財の建造物を修理する際は原則、国産漆を使用するように通知。さらに18年度からは修理の全工程で国産漆を100%使用することを目指す―と言及した。

 将来的な需要拡大が見込まれたため、同市も増産態勢に入るべく、二つの課題と向き合っている。

 一つは漆原木の確保。これまでの需要低迷に伴い、漆林が減少している。市は漆掻(か)きができる原木の現状を調査・管理し、生産と植林を計画的に進めるシステムの開発を目指している。

 もう一つの課題は、漆掻き職人の育成だ。戦後300人近くいた職人も、現在は20人程度。しかも過半数が60代以上で、このままでは先細りが避けられない。

 同市に事務局を置く「日本うるし掻き技術保存会」が国の助成で後継者を養成しているほか、市も16年度から地域おこし協力隊制度を活用し、研修生2人を受け入れている。17年度も最大3人増員するという。

 同市は、20年には約2倍の1700キロの生産を目標としている。漆文化存亡の瀬戸際から安定供給へとV字回復するために、まさに正念場を迎えている。

デーリー東北新聞社

最終更新:4/18(火) 15:00

デーリー東北新聞社