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<熊本地震1年>活断層との共存模索

河北新報 4/19(水) 10:18配信

 最大震度7を2度観測した熊本地震は、活断層がずれる直下型だった。活断層は国内に2000以上あるとされ、仙台市など都市部にも数多く存在する。実態は未知の部分が多く、発生から1年たった熊本でも活断層リスクへの対策は依然手探りだ。被害が大きかった熊本県益城町は復興計画で「活断層との共存」を掲げ、模索を始めた。(報道部・斉藤隼人)

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 「まさか、活断層がここにあるなんて」

 益城町の農業田上勝志さん(51)が指した麦畑は約2.4メートル横ずれした。町中心部から約5キロの堂園地区。直線道路はくの字に曲がり、水路の擁壁は跡形もない。自宅も崩れ落ちた。

 地区は今年3月、田上さんを会長にまちづくり協議会を設立。住民ら80人が地区の今後を議論し始めた。

 「ここに住んで大丈夫なのか」。住民からは率直な声が上がる。田上さんは「未知の断層や隣接する断層との連動もある。不安は消えない」と打ち明ける。

 建物の98.5%が被災した町は昨年12月に策定した復興計画に「活断層との共存」を盛り込んだ。活断層の真上は公園にし、中心部から離れた田畑に住宅地や商店街を集約した新都市拠点を形成する構想を描く。

 当初は大規模移転による断層回避案もあったが、インフラ整備に多額の費用がかかる上、仮設住宅に入居する町民の6割が元の場所で再建を望んだことが背景にある。

 活断層が動くリスクは数千年単位の長期間で検討される。どこまで対策を打つか。町は住民が住み続けることを重視し、活断層を直視した上で現実的に対応する「共存」を導いた。町危機管理課の岩本武継係長は「活断層は避けて通れないが、必要最低限の対策で安心を担保したい」と言う。

 現実的な対策について熊本大大学院減災型社会システム実践研究教育センター長の松田泰治教授(都市防災)は「まずは耐震診断で揺れに対する強さを知り、必要なら補強を講じることが重要だ」と指摘する。

 日本建築学会によると、町内の木造建造物は1981年以前の旧耐震基準の場合、倒壊・大破が46%に上った。2000年以降の新基準では6%にとどまり、対策の一定の有効性が裏付けられた。町は耐震化の強化に加え、共存への理解を深める出前講座や防災教育を充実させる考えだ。

 仙台市の市街地には長町-利府断層がある。鉄道や道路、人口が集中する都市部の対策は難しさを増す。

 市は昨年6月、熊本地震を受け訓練を実施。「耐震化や防災の啓発を図るが、直下型に特化した対策はない」(防災計画課)と、熊本と同様に手探りが続く。

 松田教授は「行政は断層の位置などを周知徹底すべきだ。建物の更新時に移転を促すなど長期的な対策も含め、地道に取り組むしかない」と話す。

最終更新:4/19(水) 12:06

河北新報