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JAXA、羽田・成田で低層風情報の運用開始

4/19(水) 21:43配信

Aviation Wire

 JAXA(宇宙航空研究開発機構)は4月19日、気象庁と共同開発した「空港低層風情報(ALWIN:Airport Low-level Wind INformation)」の実運用が羽田空港と成田空港で始まったと発表した。風情報サービスの実運用は世界で初めて。

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 ALWINは、航空機の着陸経路上に吹く風の風向や風速、ウィンドシアー(風向や風速の急変)、乱気流などの情報を提供するサービス。で、現在は管制官が無線を使い音声で提供しているウィンドシアーなどの情報に比べ、風の状態変化をリアルタイムでより詳しく正確に把握できるため、より安全に着陸できるようになるという。

 成田空港では、毎年100件程度のゴーアラウンド(着陸復行)が発生。このうち9割程度がウィンドシアーや乱気流の影響と言われている。ゴーアラウンドが1回発生すると、到着が20分程度遅れるという。

 また、成田では着陸時の乱気流の影響による乗員乗客の死傷事故が、過去10年間で2件発生。ALWINの実運用開始で、安全性や定時性向上の効果が期待される。

 ALWINは、2009年度からJAXAの「次世代運航システムDREAMSプロジェクト」の一環として研究を開始。2011年度から気象庁との共同研究「低層ウィンドシアーの観測情報等に基づく航空機の安全運航に資する情報の研究開発」を開始し、2013年度から成田空港と羽田空港で試作システムの運用評価を始めた。

 運用評価では、参加したパイロット約200人のうち、半数が役に立ったとアンケート調査に回答。このうち87%が「安定した着陸につながる」、5%が「速度超過が防げる」との回答があった。

 地上に設置された空港気象ドップラーレーダーとドップラーライダーなどの観測データから、ウィンドシアーや空港周辺の地形や建築物の影響などによる乱気流を自動的に検出。グラフィックデータで航空会社に配信し、ACARS(航空無線データ通信)で送信可能な形式に変換して航空機に送信する。ACARSの機能は現在、日本航空(JAL/JL、9201)と全日本空輸(ANA/NH)のみを対象として、試験運用を実施している。

 ALWINの開発で、JAXAはウィンドシアーや乱気流の自動検出プログラムの開発と、ACARSを用いたパイロットへの情報生成プログラムの開発を担当。気象庁はドップラーレーダーとドップラーライダーの観測データを用いた風算出プログラムの開発や、航空気象観測業務の一環として、ALWINの運用を担当している。

Tadayuki YOSHIKAWA

最終更新:4/19(水) 21:43
Aviation Wire