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7月に日銀審議委員2人が交代 今後の黒田体制への影響は?

4/20(木) 8:10配信

THE PAGE

 18日に政府は日銀審議委員に1.鈴木人司(都銀大手行、取締役常勤監査等委員)、2.片岡剛士(民間シンクタンク、上席主任研究員)の2名を充てる人事案を国会に提示しました。

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 総裁、2人の副総裁、その他6人の審議委員で構成される日銀の金融政策決定会合のメンバーは、7月23日に木内・佐藤両委員が5年の任期満了を迎えるため、その後任人事が注目されていました。木内・佐藤委員は現行の金融緩和に否定的で「反対票」の常連となっていたため、両氏の後任人事は黒田体制における「票固め」の性格が強くなるのではとの観測がありました。この点について以下に両氏の特徴を簡単にまとめましたが、結論を先取りすると、今回の人事で黒田体制が大きく変わることはなさそうです。

公の場での発言少ないが金融実務精通間違いなしの鈴木人司氏

 まず、鈴木氏の政策スタンスはこれまで公の場で発言が少なかったため不明な点が多いですが、金融の最前線で要職を歴任してきたことから判断すると金融実務に精通していることは間違いなく、その点において 「市場との対話」やスムーズな「出口戦略」に向けての活躍が期待されます。一人一票の合議制で執り行われる金融政策決定会合の“票”に与える影響としては、同じく大手行出身の石田委員(任期2011年6月~2016年6月)がマイナス金利に否定的な構えを示してきた経緯を踏まえると、鈴木氏も同様の問題意識を抱いている可能性があるでしょう。就任後に現行の緩和パッケージを否定するかは不明ですが、マイナス金利深掘りが議論された場合は反対票を投じる可能性があるでしょう。

リフレ派代表格、著書多数の片岡剛士氏

 他方、片岡氏はリフレ派の代表格として知られており、それを主張する書籍、レポート、コメントが数多くあります(19日付けの新聞各紙も「リフレ派」と報じていました)。

 ちなみにリフレ派とは、一般的に「景気浮揚には積極的な金融緩和と財政拡大が必要」といった考えを持つ人々のことを指します。現在の日銀メンバーでは岩田副総裁、原田泰委員、桜井委員がその論派として有名であるほか、前内閣官房参与の本田悦朗氏や早稲田大学の若田部教授などがそうした考えを持っています。片岡氏の政策スタンスは「金利」(の引き下げ)よりも(日銀が買入れる国債などの資産購入)「量」を重視しているとみられ、岩田副総裁、原田委員、桜井委員に近い考え方でしょう。

 また2015年10月の消費増税に反対した経緯があり、この点において景気刺激的な政策の導入に前向きとみられます(長期的な視点で消費増税自体には賛成しています)。日銀が現在行っている金融緩和については概ね肯定的だと思われるため就任後、直ちに反対票を投じる可能性は低いと判断されますが、日銀が出口の議論を始める際には「量」の縮小に難色を示す可能性があるでしょう。

(第一生命経済研究所・主任エコノミスト 藤代宏一)

※本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、第一生命経済研究所経済調査部が信ずるに足ると判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。見通しは予告なく変更されることがあります。また、記載された内容は、第一生命ないしはその関連会社の投資方針と常に整合的であるとは限りません。 

最終更新:4/21(金) 11:59
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