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「バルセロナはここ8年で最も不安定」現地記者が分析する“異常事態”の現状/コラム

GOAL 4/19(水) 19:05配信

ルイス・エンリケ・マルティネスこと“エル・コンキスタドール(征服者)”は、スペインフットボールにとって想像することすら難しい最大級の記録に肩を並べた。かつてジョゼップ・グアルディオラが達成したトリプレテ(リーガ、コパ・デル・レイ、チャンピオンズリーグ)の再現だ。しかも、就任1年目で成し遂げてしまったのだから恐れ入る。彼は2年目のシーズンもドブレテ(リーガ、コパ・デル・レイ)を達成し、グアルディオラを模倣する成績を残した。

しかし、3年目のシーズンは少し事情が異なる。時間が経過するにつれ、驚異的な安定感が砕け散ってしまっているのだ。

■全く安定した成績が残せないバルセロナ

実際のところ、バルセロナは今シーズンもリーガとチャンピオンズリーグを制覇する可能性を残し、コパ・デル・レイでも決勝に進出している。しかし、これまでいかに良い成績を残しているとはいえ、今シーズンの戦いぶりには大きな疑問符が付く。

以前のバルセロナは抜群の安定感を誇っていた。一方、現在はドラマチックなスコアを残すこともあれば、ヨーロッパと世界に通ずる威信や名声が吹き飛ぶほどの試合を演じることもある。要するに、好不調の波が極めて激しいのだ。驚異的な試合を見せることはあるものの、その他の多くの試合では疑問がつきまとう。その影は恐ろしいほどに大きい。

世界最高の3選手のうち2人(リオネル・メッシ、ネイマール)、そして近年で最高の9番(ルイス・スアレス)を擁するバルセロナのようなチームが、パリ・サンジェルマン戦(0−4)やユヴェントス戦(0−3)のような試合を演じてはならない。

その後、ヨーロッパの大会における史上最大の逆転劇(パリ・サンジェルマン戦での6-1)を披露したとはいえ、その3日後にはアウェーでデポルティボ・ラ・コルーニャに敗れ、リーガのタイトル争いを難しいものにしてしまった。また、カンプ・ノウのセビージャ戦(3-0)で素晴らしい試合を見せたかと思えば、レアル・マドリーがサンチャゴ・ベルナベウでアトレティコ・マドリーに引き分けた直後、勝利すればリーガ首位に立つことができたマラガ戦で始末に負えないような哀れな敗戦を喫するなど、まるでジェットコースターのような戦いを続けている。

今のバルセロナは信頼のおけるチームではない。多くの疑問が湧き、この日曜日のクラシコでレアル・マドリーに勝利できるとは誰も断言できないような状態にある。言うなれば、あまりに細いワイヤーの上を命綱なしで綱渡りをしに行くようなものだ。

今回のクラシコは、引き分けでは意味をなさない。もし勝利を逃せばレアル・マドリーにリーガ優勝のレッドカーペットを捧げることになる。ただでさえネイマールを出場停止で欠いて臨む一戦だけに、バルセロナにとって「真の挑戦」と言える戦いに他ならないのだ。

■不安定さをもたらす守備の脆さとバランスの欠如

重要な試合を控える今のバルセロナを語る上で、非常に心配になるデータがある。守備の脆さだ。それは単純にディフェンスラインの脆さではなく、チーム全体、システムとしての脆さである。守備はおぼつかなく、チームとしての結束も見られない。ボールを失うたびに慌てふためき、短絡的な走行を繰り返してはボールの出しどころを防ぐことができていない。

かつては当たり前のように対戦相手のボールの出しどころにプレッシャーをかけ、ロングボールを蹴るしかない状況に追い込んでいた。しかし、それも過去の話だ。今ではオフ・ザ・ボールの状況で、言葉にできないほど苦しんでいる。

壊滅的なデータを紹介しよう。バルセロナはここ3試合で7失点を喫し、うち2試合を無得点で終えた。さらに唯一勝利したレアル・ソシエダ戦(3-2)でさえ、最低得点差によるものだった。

また、今のバルセロナは誰の目から見てもバランスを失っている。ダニエウ・アウヴェスがチームを去って以降、右サイドは深みを失い、立ち向かうこともなく、相手のバランスを崩すこともできず、ピンチにも対処できていない。セルジ・ロベルトはサイドバックの選手ではなく、本職はエストレーモ(ウイング)だ。

アスルグラナ(バルセロナの愛称)の光るプレーはすべて左サイドから生まれる。傑出したネイマールとジョルディ・アルバ(出場していればだが)は凡庸な右サイドよりも深みのあるプレーを展開するのだ。もっとも、当のネイマールはクラシコへの出場がかなわないため、事態はより複雑化している。

また、バルセロナに多くの論争を巻き起こしている最近の補強選手の貢献についても分析する必要があるだろう。パコ・アルカセルを筆頭に、アンドレ・ゴメス、デニス・スアレス、リュカ・ディニュは移籍金に見合った活躍ができておらず、アルダ・トゥランは言わずもがなだ。バルセロナのレギュラーに見合う価値があることを証明しているのは、フランス人のサミュエル・ウムティティだけである。

今夜行われるチャンピオンズリーグ準々決勝のユヴェントス戦でバルセロナがどのような運命をたどるかは、今のところまだ分からない。ほとんど突破が不可能な状況ではあるが、彼らには奇跡的な大逆転を成し遂げた実績がある。

いずれにしても言えることは、彼らがここ数年で最も不安定かつ、結果が予測できないチームということだ。すべてを勝ち取る天国か、はたまた地獄か、あらゆる可能性がありうるのである。

文=トニ・フリエロス/Toni Frieros(スポルト紙記者) 協力=江間慎一郎

■放送日程

レアル・マドリー対バルセロナ

4月23日 深夜3時30分~(WOWOW)

GOAL

最終更新:4/19(水) 19:05

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