ここから本文です

認知症看護「おばあちゃん劇団」に学ぶ 浜松医科大が研修開発

@S[アットエス] by 静岡新聞SBS 4/19(水) 17:15配信

 「おばあちゃん劇団」が認知症の患者を演じ、看護師らが対処法を学ぶ全国でも珍しい研修プログラムを浜松医科大(浜松市東区)臨床看護学講座の鈴木みずえ教授らが開発した。「女優」たちのリアルな演技が患者本位の看護への示唆を与えている。

 けがや病気の影響で意識障害が起きる「せん妄」は認知症患者に特に現れやすく、急性期病院では治療や看護の妨げになる。プログラムでは看護師が体に触れて安心感を生むタッチケアや、チームでの対処など身体拘束をせずにできるケアを体験する。実習の必要性を感じていた鈴木教授が同市東区の老人福祉センター竜西荘で活動する劇団「意図佃琶(いとでんわ)」の協力で昨年から始めた。

 今年3月に同大で行われた研修会には、静岡県内外の看護師約20人が参加した。腕の骨折で入院中の認知症患者が深夜にせん妄を起こしたとの設定で各劇団員が役作りした。「ここはどこ。お父さんに会いたい」「人殺し、あっちに行け」と泣いたり、点滴を抜いて暴れたりする患者を2人一組の看護師が必死に不安を受け止め、落ち着かせた。

 実習後の検討会ではケアを受けた劇団員が「手を握られ目線が合うと安心」「女性は名字が代わる。名前で呼んだほうがいい」と優しく助言した。実習の中で、血圧を測ろうと説得して逆に恐怖心をあおってしまった大阪市の認知症看護認定看護師(44)は「容体急変を恐れて測定を急いでしまった。患者に寄り添えていなかった」と反省。その上で「実際の患者には聞けない当事者の思いが聞けた」と研修の利点を挙げた。

 鈴木教授は「劇団の力が看護師に気付きを与えている」と評価し、今後も多彩な実習を考えるという。



 ■対応迫られる病院

 高齢化による認知症の増加に伴い、急性期病院でも認知症患者への対応が迫られている。せん妄など混乱した患者への対応は「どの病院でも1日数回は起きている困り事」(静岡県西部の看護師)だが、専門的な対応を学んだ看護師はまだ少ない。治療のために身体拘束が行われるケースもあるが、「心情の悪化がさらなるトラブルや病状悪化を招きかねず、医療や看護の質の低下など悪循環も起きる」などと問題も指摘されている。

 2016年度の診療報酬改定で新設された「認知症ケア加算」では身体拘束で加算点数を減らす措置が取られ、病院経営上の課題にもなっている。

静岡新聞社

最終更新:4/19(水) 17:53

@S[アットエス] by 静岡新聞SBS