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日米経済対話 地域貿易ルール主導にTPP11参加国から反発も

産経新聞 4/19(水) 7:55配信

 日米経済対話では、貿易・投資分野の共通ルールを作り、アジア太平洋地域に広げることで合意した。米国が離脱した環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)の合意内容を取り込み、日米主導で地域の貿易秩序を作る構えだ。一方、TPP域内では米国抜きの発効に向けた動きが出始めている。参加国から“大国”の思惑に振り回されることへの不満が噴出する恐れもある。(田辺裕晶)

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 「日米両国で貿易投資の流れをさらに加速し、高いレベルで公正なルールをアジア太平洋地域に広げる」

 麻生太郎副総理は18日、経済対話終了後の記者会見でこう強調した。

 トランプ政権はTPP離脱を宣言したが、覇権主義を強める中国を牽制(けんせい)するには、アジア太平洋の貿易ルール作りを日米が主導する必要がある。経済対話では知的財産や電子商取引などTPPで合意した21世紀型の貿易・投資ルールを再確認し改めて各国に広げる。

 一方、米国を除くTPP参加11カ国(TPP11)は今後、米抜きTPPの発効に向けた議論を本格化する。トランプ政権誕生で保護主義の動きが強まる中、米離脱後は域内最大の経済規模となる日本が議論を主導し、TPPの“風化”を防ぐべきだとの声が強まっている。

 米抜き発効に前向きなオーストラリアのチオボー貿易・投資相は18日、世耕弘成経済産業相や石原伸晃経済再生担当相と東京都内で会談し、TPPの実現に向けて協力を求めた。

 日本は、日米貿易ルール作りとTPP11の協議を並行することで米国とTPP参加国を仲介し、米国復帰の可能性を残したい考え。ただ、米市場の自由化を期待してTPP交渉で譲歩したベトナムやマレーシアなどは米抜きに難色を示しており、TPP復活の道筋は依然不透明だ。

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 ■冷静な議論進むか

 □SMBC日興証券シニアエコノミスト・宮前耕也氏

 「麻生太郎副総理とペンス米副大統領はいい組み合わせで冷静な議論が進むと考えられる。為替は今のところメインテーマにはならなくて済みそうだ。貿易で、特定分野の輸出規制のような話はないと思うが、互いに内需拡大や市場を開放してパイを増やすというような方向に議論が進めばいい。ただ、米国は財政拡張による内需拡大で輸入が増えて、貿易不均衡がむしろ拡大する可能性が高い。来年には米国の中間選挙がある。米国の通商問題への姿勢がより厳しくなったり、円高ドル安を志向したりする可能性がある」

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 ■黒字減らし要求も

 □ニッセイ基礎研究所専務理事・櫨(はじ)浩一氏

 「今後、日本が経常収支の黒字、特に対米黒字を減らす姿勢を要求されるだろう。一定期間内に方策について合意するよう要求されるかもしれない。日本が建設的な対案を出して、米国を納得させられるかがカギになる。自動車や農産物など個別分野で、米国が不公正と言って日本がそうではないと言い続け、議論が平行線をたどってまとまらなければ、結局は為替水準が問題だという話になってしまう可能性もある。トランプ政権は市場に委ねる原則を貫くわけではなさそうなので、米国が利上げしても大幅な円安は望み薄そうだ」

最終更新:4/19(水) 8:18

産経新聞