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ヤマハ、ボートシェアリング「Sea-Style」で羽田空港を離着陸する飛行機を間近から堪能

Impress Watch 4/19(水) 20:27配信

 ヤマハ発動機は、4月13日と14日の2日間、都内のザ・クルーズクラブ東京において、報道陣向けにヤマハマリンクラブ「Sea-Style(シースタイル)」の説明会、およびクラブ艇の体験クルージングを開催した。このイベントは毎年開催されている試乗説明会で、今年は48媒体74名が参加した。

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 シースタイルは、会員制のボートシェアリング(レンタル)サービス。2006年に発足して、今年で11年目を迎える。海外を含め全国約140カ所のマリーナでボートをレンタルでき、旅先でも気軽にマリンスポーツを楽しめるのが特徴。

 試乗会に先立ち、ヤマハ発動機 マリン事業本部 第2マーケティング部 部長の小沢力也氏が登壇し、「昨年は売上高2972億円、営業利益率18.6%とヤマハ発動機のなかでも高収益を維持している」とマリン事業の業績について報告した。また、世界の3兆円市場への挑戦として、事業領域を拡大していく考えがあることを述べた。

 さらに、シースタイルのサービスを強力に進めていく方針をあきらかにし、より内容を充実させることで、「上質なマリンクラブとして会員価値を向上させ、船舶免許を持っていない層にも入会を希望してもらえるような取り組みをしていく」と挨拶を締めくくった。

 続いて、マリン事業本部 東日本ソフト課の南成記氏が登壇し、今回のクルージング体験について説明した。試乗艇として用意されたのは、シースタイルのレンタル艇のなかで一番大きなSR310のほか、LUXAIR(ラクシア)が2艇、S-QUALO(エス・クアロ)、FR-23 EX、スポーツボートのAR240の5モデル6艇。

 コースは2つに分かれ、Aコースは、ザ・クルーズクラブ東京を出発し、レインボーブリッジ、晴海、佃島を巡る約40分のコース。Bコースはスポーツボート(AR240)のコースで、モノレールと並走しながら羽田空港に向かうコースとなる。筆者はAR240に試乗し、この羽田空港に向かうBコースを体験する。

■スポーツボートの楽しさを垣間見る体験クルージング

 体験クルージングをするため、参加者は荷物を預け、ライフジャケットを着用してデッキに移動する。デッキにはすでに準備が整った試乗艇が参加者を待っていた。筆者が試乗するAR240は、今回の試乗艇で唯一のスポーツボート。操船するのは田中キャプテン。クルージングコースも他の5艇とは分かれ、単独で羽田空港を目指すことになる。

 AR240は、一般的なボートに搭載される船外機と違い、水上バイクと同じジェット推進システムを採用している。4ストローク4気筒1812ccのNAエンジンを2基搭載し、132.4kW(180ps)×2の出力を誇る。直進安定性の向上や旋回時の高いグリップ性能を発揮するキールを船底に装備したハル形状や、ジェットポンプノズルと連動する可動式キールを装備し、高い運動性能を誇る。

 コックピットには、エンジン情報や走行情報などを集中管理するオールインワン・タッチスクリーン・ヘルムコントロールシステム「Connext」を装備。ライトやオーディオ、ブロアーなどの操作もここから行える。ドライバーズシートはスタンディングポジションに変更でき、遊び方や状況に合わせて最適なポジションで操船が可能となっている。

 AR240の購入価格は約900万円。シースタイルでレンタルした場合、平日3時間で1万7500円~(税込、燃料等消耗品は別途必要)で借りることができる。全長は7.3m、全幅は2.6m。定員は11名(マリーナによって定員を制限している場合がある)となっている。

 AR240以外の試乗艇の説明は下記のとおり。

SR310

 船外機を覆ってしまう斬新なトランサム・レイアウト(特許出願中)を採用し、親水性を持つ広いプラットフォームを実現している。船外機は、5330cc V8エンジンのF350AETX。257.4kW(350ps)の出力を誇る。全長9.43m、全幅2.69m。購入価格は約2000万円だが、レンタルでは平日3時間で4万5000円~(税込、燃料等消耗品別)。

LUXAIR(ラクシア)

 風を感じられるフライングブリッジ(キャビン上部の操船席)が特徴。船中泊にも対応し、シートをフルフラットにアレンジできる。船外機は1基仕様、2基仕様などバリエーションも多い。今回の体験クルージングでも250psの1基仕様と、115psの2基仕様が用意された。全長7.47m、全幅2.79m。購入すると約1300万円。レンタル平日3時間なら 2万7800円~(同)。

S-QUALO(エス・クアロ)

 スクエアバウを採用し、クルージング、フィッシング、ステイなど、マルチに使えるマリンエアコン標準搭載モデル。全長7.47m、全幅2.79m。船外機はコンパクトでハイパワーな4ストロークエンジンF300BETU(6気筒4169cc)を搭載し、出力は220.7kW(300ps)。購入価格は約1170万円、レンタル平日3時間2万7800円~(同)。

FR-23 EX

 開発テーマを「爽快、快適、安心」として、フィッシングもクルージングも、マリンパーティーも楽めるマルチクルーザー。ヤマハボート免許教室では、実技講習にも使われている。全長7.09m、全幅2.55m。船外機は、110.3kW(150ps)のF150D、あるいは147.1kW(200ps)のF200Fを搭載する。購入すると約800万円。レンタル平日3時間なら1万7500円~(同)。

 各艇が離岸し、いよいよ体験クルージングがスタート。6艇はゆっくりと桟橋から離れ、京浜運河をゆっくりと南下する。東京都道480号が通る品川埠頭橋をくぐると、左の川岸には桜が咲いていた。桜の見頃もピークを過ぎて、花びらが水面にたくさん浮いているなかを進んでいくのは、少し幻想的な感覚。水面から眺める桜もなかなかの絶景。この時期のレンタルボートが人気で、水上からの花見を楽しむ人が多いというのもよく分かる。

 また、右を向けば、品川埠頭橋の南側から、ちょうど東京モノレールが運河の上に出るカーブを描いている。天王洲アイル駅を出て大井競馬場前駅へ向かうモノレールと並走する形となるが、運河など係留している舟がある場所の近くを通る際は、波を立てないように最徐行するのがマナー。競争することもなく、ゆっくりとモノレールが去りゆくのを見守った。

 品川埠頭と大井埠頭を結ぶ若潮橋(都道316号)が見えてくると、筆者の試乗しているAR240以外のボートは、若潮橋をくぐっていった。レインボーブリッジを望むAコースと、羽田空港を目指すBコースは、ここが分かれ目となっている。

 国道357号が通る八潮橋を抜けると、運河が開け、係留している船もいないため、田中キャプテンはスロットルを開ける。すると高鳴るエンジン音とともにスピードが上がり、それに伴って船首が持ち上がる。マリンジェット(ジェットスキー/水上オートバイ/水上バイク)と同じジェット推進システムを搭載したスポーツボートの加速は、車やバイクの加速というよりも、飛行機の離陸時の加速に近い印象。体ごとグイグイと前に押し出されていくような感覚だ。時速では約80km/hだというが、水上を走るため体感スピードはもっと速い。

 その速度を維持したまま、グイグイと旋回していく運動性能の高さにも驚く。シースタイルでは、ボートを初めて借りる際に安全講習を受けなければならないマリーナが多いが、スポーツボートを借りる際には、それとは別にスポーツボート用の講習が必要になる。その理由が分かる。同じボートといえど、船外機のボートとは動きがまるで違う、別の乗り物のようだ。

 スポーツボートらしい走りの体験もあっという間で、またすぐに京浜運河をゆっくり南下する走りになった。元気よく走るボートも楽しいが、ゆっくりと景色を眺めるクルージングもまた楽しい。残念ながら今回の羽田空港に向かうBコースには、道中にこれといったランドマークも、絶景と言えるような場所もないため、空港到着に期待が膨らんでいく。

 首都高湾岸線と国道357号が通る京浜大橋を越えれば、羽田空港までもうすぐ。赤い誘導灯が見えてくると、ちょうど着陸する機体が出迎えてくれた。そのまま徐々に近づいてみると、海から見る羽田空港という、普段見る機会がない希少なアングルからの景観を楽しむことができる。

 次々と、B滑走路に着陸する機体が現われる。羽田空港の近くにある城南島海浜公園からもB滑走路に着陸する機体を間近で見ることができるが、やや横からのアングルとなる。今回は海の上から、真下から着陸の迫力を見ることができるのだ。何機か着陸するのを堪能してから、来たルートを戻る。スポーツボートの面白さと、海から見る羽田空港の新鮮さを感じながら、あっという間の体験クルージングだった。

■予約システムを大幅リニューアルした「シースタイル」

 シースタイル説明会では、マリン事業本部 東日本ソフト課の太田幸名氏がシースタイルのビジネスモデルや概要を解説。シースタイルは、単なるシェアリングのサービスというだけではなく、マリンの遊び方の提案や、海遊びの仲間作りの場を提供するといった付加価値を付けた新しいマリンライフスタイルを提供するサービスとなっている。

 シースタイルの会員数は、2006年の設立から11年連続で増加。2016年には会員数が2万人を超えた。利用(レンタル)回数は、2016年に2万2000回となり、会員と同乗者の利用延べ人数は、年間6万3000人となるという。会員構成は、約半数が会社員。8割以上が都市部近郊に在住している。平均年齢は、40代後半と、経済的に安定している年齢層が中心となっている。

 シースタイルでは、「選べる遊び」「選べるボート」「選べるスポット」の3つの魅力を柱として、会員に向けてさまざまなマリンライフの提案をしている。「選べる遊び」は、マリーナごとに楽しめる遊びを具体的に提案する。「海遊びプラン」は全国で300コース。釣りやクルージングなど、目的に沿って、異なる遊び方を見つけることが可能となっている。

「選べるボート」は、本日試乗する5モデルを含め約20モデルのクラブ艇が用意されている。クラブ艇は安心して利用できるように、すべて3年以内に新しい船に入れ替えているのも特徴。いつでもきれいな船に乗ることができるようになっている。さらに、すべての船にGPSナビを搭載。保険も加入済み。定員分のライフジャケットが搭載されているので、手ぶらでマリーナに行き、気軽にレンタルで楽しめるようになっている。

 ボート利用シミュレーションとして提示されたのは、「東京リバークルーズ」。定員6名の「AS21」を5名で利用した場合、1人あたり約3400円となる。勝どきマリーナを出発し、レインボーブリッジを望み、浜離宮恩賜庭園で水辺からの花見をし、勝どき橋、神田川などを巡る周遊ルート。休日3時間のボート利用料1万2300円、燃料代5000円の合計1万7300円を5名で利用した場合の計算だ。仲間を集って楽しんだ場合、決して高い金額ではない。

「選べるスポット」は、ボートを購入した場合だと1つの海域でしか遊ぶことができないが、シースタイルなら国内のあらゆる場所、海外(ハワイのオアフ島、タイのパタヤビーチ)でレンタルして、その場所(海)で遊ぶことができるというもの。シースタイルでのレンタルは、東名阪を中心に国内に137カ所、海外2カ所のマリーナで利用可能となっている。

 シースタイルのWebサイトは、昨年6月に予約システムを大幅にリニューアルした。現在、予約の6割がWebサイト上からの予約になっており、予約システムの機能が飛躍的に向上したことで、より一層シースタイルを楽しめるようになった。好みに合わせた条件でのマリーナ検索や、見つけたマリーナをお気に入りへ登録できるなどの機能強化に加え、ボートのレンタル空き情報も見つけやすくなったという。

 さらに、会員ステージも導入された。前年の利用実績に応じてステージが決まり、各会員ステージに応じた特典が用意される。

 シースタイルは、単なるシェアリングだけにとどまらず、会員にマリンライフを提供するサービスして、さまざまな会員向けイベントも企画されている。そのうちのひとつ「シースタイル フェスタ」は、普段レンタルできないヨットや大型クルーザーなどの乗船や、シースタイルではできない夜間航行を楽しめるナイトクルージングなどの企画がある。2016年は9会場で開催したが、2017年は10会場での開催を予定している。

 同じく会員向けイベントの一つ「シースタイル フィッシングクラブ」は、座学の釣りの講習だが、非常に人気のイベント。2016年度は全3回の座学を実施し、延べ229名の会員が参加した。そのうち、15名の会員が3回とも参加したという。2017年度も同様に全3回の座学を実施予定で、昨年3回とも参加した15名のうち8名が、サポートスタッフとしてイベント運営の手伝いをする。「シースタイルは、ファンと一緒にクラブを作っていく」という新しい取り組みを始めている。

■若年層や女性に人気の「シースタイル ジェット」

 マリンジェット(ジェットスキー/水上オートバイ/水上バイク)の操船には、特殊小型免許が必要だ。特殊小型免許はボート免許(2級船舶)と違い、若年層や女性の取得者が多いという。シースタイル ジェットの会員層も、若年層の割合や会員の女性比率が高くなっている。

 シースタイル ジェットでレンタルできるのは「MJ VX-Deluxe」「MJ VX-Cruiser」「MJ FX-HO」の3種類。レンタル代は平日3時間で1万1300円から。最新モデルも導入中とのこと。これらを全国で約30カ所でレンタルできる。また、1級または2級船舶免許を持っていれば、スポーツボート「AR190」「AR240」もレンタルできる。

 シースタイル ジェットは、シースタイルと比べて月会費が半額とリーズナブルなのも特徴。マリンジェットも、シースタイルのボート同様に3年以内にレンタル艇を入れ替えている。

 続いて説明会では、釣りタレントの晴山由梨さんが登壇し、「ボートフィッシングの楽しさ」について話をした。晴山さんは4年前に2級小型船舶免許を取得。昨年、1級にステップアップした。普段は関東を中心に活動しており、この説明会前日まで、茨城県の水郷ボートサービスで、シースタイルを利用したお花見クルージングを楽しんできたという。

 晴山さんは乗合船での釣りとボートフィッシングの大きな違いを聞かれ、「ボートフィッシングはプライベートな雰囲気がある。仲間同士、限られた空間でとてもリラックスできる。乗合船だと釣る魚によって船が分かれているので、その魚に合わせた釣り方しかできないが、プライベートボートだと自分の狙いたい魚を好きなように釣ることができ、自由に楽しめる。1日を通して、いろいろな魚を釣ることができるので飽きることがない」と答えた。また、「乗合船だと、何匹釣れたかということが注目されるが、ボートフィッシングは釣るまでの過程が楽しい。ポイントも自分で探して、自分の考えた釣り方で魚が釣れたときは格段にうれしい」と楽しさを語った。

■ヤマハボート免許教室

 ヤマハ発動機では、免許取得に対してもヤマハボート免許教室を開いてサポートしている。マリン事業本部 東日本ソフト課の森川裕加氏が登壇し、ボート免許について説明した。現在、ボート免許(小型船舶操縦士)を持っている人は340万人。平成27年度(2015年)は、およそ5万7000人が取得したという。

 自動車免許と2級ボート免許を比較すると、取得可能な年齢や身体基準の視力など、いくつか違いがあるが大きく違うのは取得までの金額で、自動車免許が約25万円かかるのに対し、2級ボート免許は約10万円弱と半分以下。また、取得までの期間も自動車免許の1カ月以上に対し、3日間と大幅な差があると解説。ボート免許は簡単で手軽な免許だと説明する。

 ボート免許の種類は1級、2級、2級湖川小出力、特殊小型と分かれており、マリンジェットに乗るには特殊小型が必要。森川氏は、自動車免許と二輪免許が分かれているのと同じと、分かりやすい例えで解説した。ヤマハボート免許教室では、2級ボート免許を3日間で取得する通常コースの合格率が97%以上とのこと。さらにパソコンやタブレットを使い、eラーニングで学科を勉強する「スマ免」というコースもある。スマ免でオンライン講習を終えていれば、実技講習に半日、国家試験に半日の、1日で免許を取得する1日コースも設定されている。

 国内のボート需要に関して、マリン事業本部 マリン事業統括部 第2マーケティング部マリンソフトグループ グループリーダーの村澤康弘氏に聞くと、一番需要がある5~10mのクラス(~30フィート)ボートの、国内需要は新艇1000隻。そのうち、約70%がヤマハと、かなり高いシェアとなっている。実際、一部のモデルは注文しても、すぐには入手できない状況が続いている。

 日本国内では、釣りを目的としてボートを購入する人が多いが、最近はクルージングでいろいろなところに行きたい、知り合いや仲間と一緒に時間を一緒に過ごしたいという釣りを目的としない楽しみ方が増えているという。さらにマリン人口を増やしていくために村澤氏は、「将来的に、免許を取った先にレンタルがあるのではなく、シースタイルような仕組みがあるから免許を取るという動きにしていきたい。また、まだ免許を取ろうと思っていない層へのアピールとして、全国各地に約140カ所あるシースタイルのホームマリーナが門戸を開き、気軽に、30分でも1時間でも、免許がない方でも、会員じゃなくても、簡単に乗車体験ができるような機会を提供して、どんどん体験の場を広げていきたいと考えている」と語った。

トラベル Watch,政木 桂

最終更新:4/19(水) 20:27

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