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「ウォーキング中に決めた」総選挙 EU離脱交渉がスムーズに?

ホウドウキョク 4/19(水) 10:07配信

ウォーキング中に重大な決心

「復活祭前にウェールズで数日間夫とウォーキングをして過ごした時、この長く厳しい交渉について考え、将来に安定と確実性をもたらす方法は選挙だという結論に達したのです」

イギリスのメイ首相は18日の首相官邸前でのサプライズ演説で総選挙前倒しを表明した後、英ITVのインタビューで、いつ決断したのかと聞かれてそう答えた。

イギリスは14日の金曜日から17日の月曜日までイースター(復活祭)の連休だった。多くの人が旅行や帰省などで休日を楽しむ中、メイ首相も先週イギリス西部のウェールズで夫と休暇を過ごしていた。

ウォーキング中に重大な決心をしたメイ首相は発表前日の17日にエリザベス女王に総選挙の意向を伝えている。しかし、政権の重要政策が発表日の新聞朝刊に掲載される(つまりは新聞が前日夜に情報をつかむ)ことも多いイギリスで、18日の新聞に総選挙やそれをにおわす記事は皆無だった。

「1時間後に首相が声明を出す」と言われるまでどこもつかめなかったのだ。

「総選挙を今実施しなければ政治ゲームが続く」

メイ首相はこれまで2020年に予定されている総選挙を前倒しすることはないと繰り返し断言してきた。ではいったいなぜ今回の決断に至ったのか。

18日の演説でメイ首相はこう述べている。

「国は結束して進んでいる。しかしウェストミンスター(議会)はそうなっていない」

「総選挙を今実施しなければ政治ゲームが続き、EUとの交渉は次の選挙の準備に忙しい中で最も困難な段階に達する」

イギリスは去年6月の国民投票でEU離脱が決まり、ことし3月末には正式に離脱を通知して「後戻りはできない」状況となった。しかし、メイ首相のEU単一市場からの撤退など「ハード・ブレグジット=強硬離脱」の方針に対し、野党の労働党やスコットランド国民党などは強く反発している。

現在、下院650議席のうちで与党保守党は330議席で過半数をわずかに確保しているが、保守党内から首相の離脱交渉方針に5人でも造反すれば行き詰まる可能性もある。メイ首相にとって議会が離脱交渉の障害になりかねない状況といえる。

そして世論調査の支持率では(もちろん世論調査の精度に問題があることは実証済みだが)、保守党は44%で23%の労働党に20ポイント近い差をつけている。メイ首相としては、支持率が高い今、解散に打って出て政権基盤を固め、5月頃から始まる離脱交渉を野党の干渉なしに有利に進めたいという狙いがある。

さらに、離脱交渉は2019年春まで厳しいやり取りが続くことになり、その頃政権の求心力を低下させる事態が生じないともいえない。

いま選挙を行えば、「次の次」の選挙を離脱直後の2020年から2022年まで先送りすることができるのだ。野党労働党は現状の支持率では勝てそうにないのだが、信を問うと言う首相の決定を歓迎せざるをえない。

労働党やスコットランド国民党は単一市場へのアクセスなどを確保する「ソフト・ブレグジット」への支持を訴えて選挙を戦うだろう。イギリス国民は、離脱の「ありかた」をめぐって民意を示すことになる。

ヨーロッパではオランダの総選挙で極右政党が支持を伸ばし、間近には極右や左派勢力の伸長が注目されるフランス大統領選が控えている。

去年の国民投票で世界のポピュリズム(大衆迎合主義)や自国中心主義に火をつけたイギリスが、ことしまた世界に大きなインパクトを与えることになる。

最終更新:4/19(水) 10:07

ホウドウキョク