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悩んだ末に導き出したユニチャーム、紙おむつリサイクルの方程式

4/19(水) 10:53配信

ニュースイッチ

志布志市と実証、住民行動が勉強に

 ユニ・チャームは2016年末から鹿児島県志布志市で紙おむつリサイクルの実証事業に取り組んでいる。市内4地区の家庭などから使用済み紙おむつを集め、地域のリサイクルセンターに運んで紙おむつのパルプを再生している。

 同社は15年、再度紙おむつへパルプを循環利用する技術を確立した。使用済み紙おむつを分解し、取り出したパルプをオゾンで殺菌する。おむつに付着していた菌はゼロまで消滅し、新品以上の上質パルプになる。再利用しても衛生面の心配がない。

 日本の大人と子供用の紙おむつを合わせた生産量は年間218億枚に上る。古紙なら再生紙にできるが、紙おむつは焼却しか処理方法がない。高齢化で大人用紙おむつの廃棄が増え、紙おむつの処理費が自治体の負担となっている。焼却施設のない志布志市は、回収した紙おむつを埋め立てており、処理場の確保が課題だった。

 ユニ・チャームも悩んでいた。CSR本部の宮沢清本部長代理は「技術を開発したものの、1社だと広がらない」と考え、志布志市との実証が実現した。

 実際に取り組んでみると課題も効果も見えてきた。同市は家庭ゴミを27種に分けているので、紙おむつを分別対象に加えても住民は協力的だった。ただ、ティッシュペーパーが混ざっていることがあり、パルプを分別・再生する実験機への投入前に取り除く作業が必要だった。「住民行動が勉強になった。紙おむつ以外を入れないようにお願いする必要があると分かった」(宮沢本部長代理)という。

 リサイクルセンターで実験機を運転しているうちに、処理時間を大幅に短くできる成果が出た。もともと再生パルプは、新品よりも低価格になると想定していた。実証で処理時間が短縮し、低コストが確実になった。

 低コスト化が紙おむつリサイクルの実現の可能性を高める。自治体は処理負担を軽くでき、地域のリサイクル業者は再生パルプをユニ・チャームに販売して収入を得られる。ユニ・チャームは新品パルプよりも安く原料を調達できる。森林資源が守られ、パルプ製造のエネルギーも減るので環境負荷を低減できる。宮沢代理は「関係者みんながハッピーになる」と話す。

 17年度も同社と志布志市は実証を続ける予定で、市は19年度の設備導入を検討している。「日本全体に広げる一歩」(同)と位置付けており、国や業界にも取り組みの輪を広げたいと意気込む。

<解説>
 企業が「良い技術だ」と言っても市場に受けいられるとは限りません。新しい環境技術が出てきても、黒字化するまで時間がかかります。困っている人と一緒に取り組むことで、使える技術なのか、市場はあるのか、確認できると思います。ユニ・チャームの場合、それが志布志市でした。
(日刊工業新聞第二産業部・松木喬)

最終更新:4/19(水) 10:53
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