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「医療IT、キヤノンとの連携が生きる」(東芝メディカル社長)

4/19(水) 14:21配信

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瀧口社長インタビュー「両社の潜在能力を持ち寄ることで全く新しいものを」

 画像診断装置が高精細化や低線量などで進化を遂げている。人工知能(AI)やIoT(モノのインターネット)を取り入れ、医療機関の業務改善にも貢献する。画像診断の枠を超え、新しい価値をどう生み出すか。東芝メディカルシステムズの瀧口登志夫社長に聞く。

 ―キヤノンとのシナジー(相乗効果)をどう発揮しますか。
 「医療機器事業はほぼ重なっていない。一部で同じ顧客もあり、時間をかけて商流を統合していく。キヤノンのモノづくり力を生かすことで、当社の生産性が上がり、品質の向上も期待できる。設計・製造など部門ごとに何ができるのかを検討し始めている」

 ―製品開発力の強化については。
 「キヤノンは『光超音波トモグラフィー技術』などの多様な研究をしている。当社の医療分野でのノウハウを結びつけ、事業化に寄与したい。少し先の話になるが、両社の潜在能力を持ち寄ることで全く新しいものが生み出せると思う」

 ―どのような成長戦略を描いていますか。
 「事業の中心である画像診断装置で収益力を高めていくことが成長の基本だ。機器の性能に加え、安全性や作業手順の効率化など患者に価値を生むことが求められている。そこをしっかりやる。海外の競合大手と比べても勝てる余地がある」

 ―AIやIoTなどへの取り組みは。
 「医療全体を効率化する中で、ITを活用した製品・サービスは成長のタネだ。医療情報を収集・統合し、分析・加工することがさらに効率化される。医療ITについてはこれまで欧米企業を買収し、ピースを集めてきた。米国の医療ITをめぐる市場の変化に対応するとともに、いずれ日本でも市場が顕在化する際に提案していく。ここでもキヤノンとの連携が生かされる。また、ライフサイエンスやバイオ、遺伝子など医療の高度化を支える技術も取り込みたい」

 ―M&Aの方針は。
 「成長戦略を実現するため、機会を逃さずにやっていく。市場に入り込むため、地場企業との連携も重要だ。最近ではロシアで現地生産を始めた。買収ではないが、地場企業との生産上の提携の一つだ。地域の販売代理店に資本参加して関係を強化することにも取り組む。この2年間、(売却先が確定しない)不安定な中で前向きに投資できる段階でなかった。その状況をうまくくぐり抜けた。これからは実行に移す」

 ―売上高4000億円、営業利益率5%の業績を中期的に5000億円、10%に高める方針を掲げていました。変更はありますか。
 「方針は変わらない。外部環境の変化に対応して業績を伸ばす。キヤノンの経営方針の中で当社をどう位置付け、シナジーを盛り込んでいくかがテーマだ。具体的な目標は言いにくいが、何よりも成長を目指していく」

<記者の目>
 キヤノンの御手洗冨士夫会長は東芝メディカルの子会社化を「新たな夢」と語る。100年以上積み重ねてきた企業文化に、高い製造技術を持つキヤノン流の“味付け”が付加され、どんな価値を生むのかは楽しみなところだ。事業統合の話し合いはまだ緒に就いたばかり。18年初頭の社名変更に向けて、具体策が徐々に明らかになってくるだろう。医療機器の「世界ビッグ3」に対抗する力に変えてほしい。
(日刊工業新聞第二産業部・村上毅)

最終更新:4/19(水) 14:21
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