ここから本文です

心の問題を精神面で解決するのでなく、まず身体動かしてみよう

ニュースイッチ 4/19(水) 20:31配信

呼吸を整える水泳、相手との距離感を意識する空手

 心の病が社会的な問題になっている。私自身、長年、外資系でマーケットの世界に身を置いてきて、仕事や人間関係の面で気がめいった経験も少なくない。これまでもいくつかの会社で、心の病気になって出社できなくなった同僚や部下を見てきた。

 ストレスを抱えた時に、そこから抜け出そうと頭で考えれば考えるほど、状況が悪くなる。心によって身体の調子が崩れることもあるのだから、身体によって心が変わることもある。身体を動かすことの効能を我々はもう少し重視すべきではないだろうか。心の問題を精神面で解決するのでなく、心と体のバランスという観点から捉え直したい。

 私自身、効果を実感して、多くの人でも、すぐに取り組めるのが水泳だ。水の中では呼吸を意識せざるをえない。呼吸が整えば気持ちが落ち着くし、考えもまとまる。最初は腰痛予防のために始めたが、私自身、業務やプライベートなことで悩んだときに、泳ぐことで気持ちが落ち着いたことも一度や二度ではない。

 最近、始めたのが空手だ。50代後半の手習いで敷居は高いかもしれないが、相手との距離感や向きあい方を意識するには最適だ。水泳も呼吸を意識するが、空手では自分の呼吸のみならず、相手の呼吸も感じなければならない。人と人との距離で悩む社会人も多いが、空手では肉体的な距離を知ることが精神的な距離を学ぶことにもなると、その効能を再認識している。

 KYという言葉がはやったように、日本では「空気」を読めないと人としてダメという風潮があるが、そもそも「空気」はその時々でうつろう陽炎のようなものだ。「空気」を捉えることに神経を擦り減らすことはナンセンスではないか。それよりも、相手の呼吸の乱れや心理状況の変化などを感じ取れる力を養うべきだろう。

 当行を含め、地方銀行を取り巻く環境は厳しさを増している。本業の貸し出しでは利ざやが縮小の一途で新たなビジネスモデルの構築を迫られている。地域をまたいだ再編も目立ち始めているが、横並びで、統合により規模を大きくすることだけが生きる道ではないだろう。当行はメガバンクや他の地銀と差別化するために、柔軟性を持った事業展開をしてきた。そんな当行のユニークさを支えるのは、我々一人ひとりの柔軟な発想力と、粘り強い行動力に他ならない。

 大きな力がある方向から加わった時に、その圧力をうまくそらしながら、いかに弾めるか。「バネ」のような人材がこれからの時代は求められる。そのためにも心と体のバランスを意識することがより求められていると強く思う。

【略歴】いしだ・やすあき 82年(昭57)東工大経営工学卒、同年三和銀行(現三菱東京UFJ銀行)入行。その後、欧米大手投資銀行に転じ、債券・デリバティブ営業統括に従事。15年東京スター銀行執行役として市場部門を統括。栃木県出身、57歳。

石田康明(東京スター銀行執行役)

最終更新:4/19(水) 20:31

ニュースイッチ