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JR南武線開業90周年で市民劇  誕生秘話を熱演

4/19(水) 12:35配信

カナロコ by 神奈川新聞

 今年3月に開業90周年を迎えたJR南武線の誕生をテーマにした市民劇が5月、川崎市内で上演される。川崎の大動脈として親しまれる鉄道の実現を誰が思い立ち、どのように成し遂げたのか-。近代化のうねりの中、壮大な夢を追いかけた2人の男の人間ドラマを、公募した市民や俳優ら約40人が熱演する。

 「血の通ったせりふを」「歌い出しの音程は一段高く」。幸区内の稽古場で演出の板倉哲さん(59)から出演者らに細やかな演技指導が続く。本番を目前に控え、稽古に熱が入る。

 「南武線誕生物語」は地元ゆかりの人物を取り上げてきた川崎郷土・市民劇の第6弾。多摩川の砂利輸送を目的として1927(昭和2)年に開通した「南武鉄道」の誕生に光を当てた。過去5回と同様に劇作家の小川信夫さん(90)が、史実と創作を絡め迫力ある脚本に仕上げた。

 物語は、御幸(みゆき)村村会議員を経て橘樹(たちばな)郡議員として活躍した秋元喜四郎と、京浜臨海部を埋め立てた実業家の浅野総一郎が軸となる。

 秋元は、氾濫を繰り返す多摩川の築堤を村民約600人と県に直談判した「アミガサ事件」のリーダーでもあり、村民救済に生涯をささげた。私財をなげうって鉄道建設に乗り出すも資金が続かず、救いの手を差し伸べたのが浅野だった。

 青梅の石灰岩を臨海部のセメント工場に運ぶ鉄路の必要性を見抜き、日本の近代化を夢見る浅野。公害などを巡って資本家と対立してきた秋元。立場の異なる2人の夢が重なり合っていく様子が見どころだ。

 板倉さんは「社会的弱者だった民衆の声が秋元の背中を押して鉄道建設の動きが形となった。現代社会では格差が広がり、幸福感も高くないが、希望や未来をつなぐヒントを見つけてもらえれば」と話している。

 多摩市民館(多摩区)で5月13、14日、いずれも午後1時半開演。エポックなかはら(中原区)では同19日午後6時半、20、21日午後1時半開演。前売り券は指定席3600円、自由席2900円、学生・障害者千円。申し込みは、上演実行委員会電話044(222)8878。