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大ヒット「やすらぎの郷」でも輝く浅丘ルリ子の存在感

日刊ゲンダイDIGITAL 4/20(木) 9:26配信

「目の付けどころがシャープでしょう」というCMコピーがあったが、放送中の昼ドラ「やすらぎの郷」(テレ朝系)がまさに「目の付けどころ」が大ヒットにつながった。

 石坂浩二を中心に浅丘ルリ子、加賀まりこと元妻、元カノの共演。3人はすでに70代になるが、80代の八千草薫、有馬稲子ら錚々たる女優も出演する。老人ホームを舞台にしたドラマは芸能界の側面を見るようなセリフもあり、売れる女性誌の鉄則「おや? まあ~ へえー!」が随所にちりばめられている。

 昼間の在宅率の高い中高年に目を付けたことがヒットの要因でもある。なかでも最近、注目度が高いのが浅丘。昼ドラだけでなく、大河「おんな城主直虎」でも今川義元の母親役として登場。ネットでは「メークが怖い」といった声もあるが、騒がれることは逆に存在感を示し注目されている裏返しでもある。仕事も好調ならおしゃべりも冴える。

「ゴハンを食べに行くボーイフレンドは3、4人いる」と、変わらぬ恋多き女ぶりをトーク番組で語っている。「女優は年齢に関係なく恋しているほうが美貌も艶も増す」と言われる世界。女優として正しい姿とも思う。

 浅丘を筆頭に個性豊かな女優陣が揃ったのも倉本聰氏の人脈だろう。かつての黒沢明監督のように役者から「出たい」と思う監督や脚本家が減っているが、倉本氏は「出たい」と思う脚本家の代表である。

 氏によれば、「局は若者向けのドラマばかり作っているから年寄りは見ても面白くない」ということから生まれたドラマという。確かに、近年のドラマは人気俳優による若者のためのドラマを作る傾向にあるが、新たな挑戦も見られている。先週の土日のゴールデンタイムに2夜連続で放送された山崎豊子原作の「女の勲章」(フジ系)もしかり。だが、平均視聴率で土曜が8.1%。日曜が6.2%と下がり、不振に終わった。

 やはり主演の松嶋菜々子に興味がそがれた一面も見える。それはテレビ女優と映画女優の違いでもある。松嶋はモデル出身女優の先駆者的な存在。男性人気も高く、6年前には「家政婦のミタ」をヒットさせたが、その後の主演ドラマの大半は伸び悩んでいた。人気という土台にハマリ役ができたときにテレビ女優は注目されるが、人気もハマリ役も不安定で長続きしない。対照的に映画女優にハマリ役など必要ない。今出演している役がハマリ役なのである。「やすらぎの郷」に出演の女優陣がそれを教えてくれている。

(二田一比古/ジャーナリスト)

最終更新:4/20(木) 9:26

日刊ゲンダイDIGITAL