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親の「相続財産はいくら?」 子どもの教育話と一緒にそれとなく聞く方法

4/20(木) 17:10配信

ZUU online

昨年発表された日本政策投資公庫の調べでは高校から大学まで教育にかかる費用(入在学費用、仕送り額及び自宅 外通学開始費用の合計)は、約1485万円。仮に、ふたりの子供がいる場合、単純計算で、3000万円の負担が発生する。

蓄えはあったとしても、住宅ローンの返済がある年代と重なることから、子供が卒業するまでは、お父さんお母さんは、節約が強いられる。そこで、活用を検討したいのが教育資金贈与である。

制度の正式名称は、「直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税」だ。孫ひとりの贈与に対し、1500万円を上限に贈与税が非課税となるものである。2015年に増税された相続税に対して、贈与税の優遇として新たに設置された。

国の政策は、高齢者の貯蓄を早く流動化させ、次世代の消費に繋ぐとする目的であり、相続税は強化し、その代わりに、生存中の贈与は軽減としたのだ。その一環がこの教育資金贈与である。同様に、結婚資金を目的とする結婚資金贈与も設置された。

■具体的な仕組み、金融商品は

一般的には、祖父母が孫に対して贈与することが想定されており、贈与専用の口座を新設する。この場合、孫は未成年の場合が多いため、親が代理人として契約することになる。実際の利用にあたっては、この贈与用の口座から、教育資金に該当する支払いに対し、出金される。限度額である1500万円を一括で贈与することもできるし、限度額の範囲で、適宜贈与を行うことも可能である。

この制度を利用するには、各金融機関が提供する商品を選択する必要がある。これら商品を申し込むと、金融機関が、税務署宛の届け出を代行してくれ、その利用目的への適合をチェックすることになる。申し込みには、親族関係を証明する書類として、戸籍謄本(正式には「登記事項証明書」)を提出する必要がある。

あくまでも、教育資金への利用が条件であることから、払い出しには支払いを行った疎明資料(請求書、領収書等)の提示が払い出しの条件とされる。商品は、各金融機関のHPで確認できるが、メガバンク、地方銀行、信託銀行では、この制度への対応商品が用意されている。

■制度利用に向いているのはこんな人!

本来、家族を扶養することは親の義務であり、民法には祖父母も広い意味で孫を扶養する必要があると記されている。つまり、祖母祖父が孫の教育資金を負担することは、どの時点でおいても問題ない。例えば教育資金が発生した都度、それを負担しても贈与税はかからない。では、どのような方がこの制度を利用するメリットがあるのか?

それは、祖父母が亡くなった時に相続税がかかるかどうかによる。相続税には、一定の財産額まで税金がかからない基礎控除というものがある。この基礎控除は、3000万円+600万×法定相続人で算出される。

例えば、夫婦で子供2人の場合で、夫が亡くなった場合、3000万円+600万円×3人(妻と子供2人)で、4800万円が基礎控除となる。つまり、夫の財産が4800万円以下であれば、相続税はかからないこととなる。また、配偶者には、特別の控除があり、法定相続割合もしくは1億6000万円の大きい方の金額以下を配偶者が相続する場合は、相続税はかからない。

その他相続税には、いくつか特例があるため、具体的には、実際の配分を踏まえた試算が必要になるが、少なくとも、基礎控除の範囲以下の相続財産であれば、相続税を負担する必要はない。相続税を負担する必要がなければ、わざわざこの制度を利用する必要もなく、発生した都度、教育資金を負担してもらうということで、問題はない。

■どうやって親の財産を確認するか

相続税対策の必要性を確認するため親に「相続税がかかるかどうか確認するので、財産を教えて」と聞くのは抵抗がある。

そんなときに使えるのがこの制度だ。「今度、娘が大学に入学したんだけど、これから、入学金が○○○万円かかる。教育資金の贈与という制度があって、相続税対策にもなるらしいけど、どうかな」

基礎控除という控除額以内であれば、相続税はかからないので、その場合は、この制度を使わなくてもいいんだけど」と大まかな財産を聞き出すことができる。「そんな心配いらないよ。そんなにないから」と言われれば、そもそも相続税対策は必要なく、都度、負担してもらえばいい。一方、「基礎控除がその金額なら、相続税がかかるかもしれない」との答えであれば、制度活用の検討を行ってもいいだろう。

■利用に際しての留意点は

制度利用は2019年までが予定されており、孫が小さいからもう少し大きくなって考えるというように先延ばしできないので、ある程度、将来を考え計画的に活用すべきである。

本人が30歳になって使い切らなければ、その残額に対してその時点の贈与税を負担しなければならない。最初に限度額いっぱい贈与するより、状況を踏まえて複数回に分けて贈与するということも考えるべきである。一度贈与したら、戻すことはできないため、余裕のある金額を贈与してもらおう。効果的に使えば、有利な制度であることから、このタイミングで検討することをお勧めしたい。

梶野雅章
梶野相続サポート&コンサルティング(株)代表取締役。相続診断士、家族信託コーディネーター。大手信託銀行入社後、個人向財産相談を皮切りに、年金、資産運用・管理と多様な業務を経験後、個人相続専任コンサルタントに就任。東京、埼玉で、様々な相続課題を解決。しかしながら、銀行による相続解決に限界を感じ昨年3月末勤続30年を区切りに退職。地元岡山にUターンし相続総合コンサルティング会社を本年1月に設立。

最終更新:4/20(木) 17:10
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