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ヘッドハンターが語る、転職に成功する人、失敗する人

4/20(木) 7:46配信

ITmedia ビジネスオンライン

 新年度が始まり、異動や昇進などによって新しい職場環境や人間関係の中で働くビジネスパーソンも多いはず。また、それをきっかけに「転職」を考える人も多いのではないでしょうか。実際どのような人が転職に成功し、失敗するのか。ヘッドハンターとしてこれまで約7000人と会ってきた中で、ある傾向が見えてきました。本コラムでは、事例をベースにご紹介します。

【「転職」を考える前に、やらなければいけないこと】

●転職考えるきっかけ 突き詰めると「人間関係」に

 「転職を考えるきっかけは何でしょうか?」――。これまで多くのビジネスパーソンにこの質問をしてきて、「会社が合わない」「年収が低い」といった声をよく聞くのですが、その中で最も多いのは「人間関係に悩んでいる」。また「上司から正当に評価されていない」「自分の成長に限界を感じる」「もっと風通しの良い環境で働きたい」といった理由も多く、これらも突き詰めると「人間関係」に着地するのではないでしょうか。

 しかし会社で働いていて、すべての人と“馬が合う”のは難しい。「誰かと合わない」という理由ですぐに退職し、別の環境に移ってもまた同じ壁にぶつかってしまうケースが多いのです。

 例えば、上場している大手メーカーに勤務するAさん(20代後半)は「いまの上司の元では成長するのに数年かかりそうだから、もっと速く成長できる環境に身を置きたい」との理由でベンチャー企業に移りました。転職先で、重要な役割や権限を与えられたのですが、「社長と事業の方向性が合わない」と言って、再び転職することに。次の勤め先でも「自分の努力が正当に評価されていない」と相談を受けました。彼の場合、1~2年ごとに会社を移り、いわゆる“ジョブホッパー”に。いまも、不満を感じながら仕事をしているのかもしれません。

●「ないものねだり」ではなく「自分で作る」

 次に、以前ご相談に乗った、数十人規模のベンチャー企業で働く営業マン・Bさん(20代後半)のケースをご紹介します。

 営業成績は社内で常にトップ。新卒入社で6~7年経つと一通りの業務もこなせるようになり、組織や業務の全体像が見えてきました。30歳を前にキャリアを振り返ったとき、同僚より営業成績が良くても想定より年収が上がらず、マネジメントのポジションに就きたくても企業規模からして自分に合ったポストがないことに物足りなさを感じていました。明確な人事評価制度もない中、上昇志向が高い自分に合う職場が他にあるのではないかと考え、と転職先を探し始めました。

 Bさんのようなケースは多いのですが、転職を考える前に、やらなければいけないことがいくつかあります。まずは現在の職場でその課題に対してベストを尽くしたかどうか自分に問いかけること。次に、転職という選択肢が頭をよぎる隙がないほど仕事に集中して、実績を作ること。そうすると、社内外に評判が広がり、転職活動をしていなくても、ヘッドハンターから声が掛かることがあります。

 このようにハンティングの対象になれば、より自分が成長できる企業に移籍できるチャンスは広がり、キャリアアップにつながるかもしれません。市場価値を高めて転職を有利に進めるには、前向きな姿勢で現在の仕事や組織に向き合い、行動することが必須要件なのです。

 いまの仕事に不満を感じていて、「転職をすればなんとかなるだろう」「自分の実力はこんなものじゃない」と思っているビジネスパーソンは少なくありません。ただ、いまの環境に不満を言ってはいけません。上のステージで働いているビジネスパーソンは、自分の業務の垣根を越えて組織にない仕組みや制度を考えたり、経営陣に提案したりしています。

 例えば、あなたが「営業」の仕事をしているとしましょう。営業成績が良ければ、そのリターンを得ることができる仕組みづくりを考えてみるのはいかがでしょうか。一定基準を満たせば若手でもマネジメント職に就ける仕組みづくりを考えてみるのはいかがでしょうか。このように、自ら実現していく機会を逃して、いまの環境に不満ばかり語るのは、非常にもったいないことだと思います。

●年収が下がっても、やりがいを優先

 さまざまな調査をみると、転職したい理由に「年収を上げたい」が上位にランクインしています。しかし、ヘッドハンティングの対象になるような優秀な人材は、実は年収だけを理由に会社を移ろうとはしません。私が担当したケースでも「年収が下がってもやりがいのありそうな職場」や「成長できそうな会社」を求めている人が多いのです。

 例えば、コンサルティングや金融業界で働いていて、30歳で年収1000万円を超えている人たちといえば、どんなイメージがあるでしょうか。「チャンスがあれば、年収の高い会社に転職したいと思っている」といったことを想像するかもしれません。しかし、私がお会いした人たちは違っていました。ほとんどの人が大幅に年収が下がっても、条件が悪くなっても、「やりがいがありそう」「成長できそう」な会社を選んで、転職しています。その後の状況を聞いたところ、多くの人がスキルアップにつながり成功していることが分かってきました。

●40代の安易な転職はリスクが高い

 転職市場で、ヘッドハンターが注目するのは「年齢」と「転職回数」です。日本企業の多くは、年齢だと20代後半~30代前半、転職回数だと0~2回(経験社数でいうと1社~3社)くらいまでが好まれます。つまり30代後半や40代のビジネスパーソンが安易な動機で転職回数を重ねていくことは、非常にリスクが高くなるのです。

 繰り返しになりますが、「上司と合わないから」「年収が低いから」「やりがいが感じられないから」といったネガティブな理由で、すぐに転職活動を始めてはいけません。その前に、いまの自分にやれることは何か、やるべきことは何かを考え、その仕事に一生懸命に打ち込む。そうすると、いまの上司から高く評価されて、取引先からも注目されるかもしれません。そして、ヘッドハンターからお声がかかるかもしれません。

(高本尊通)