ここから本文です

<還付金詐欺>信金、窓口限定で防止に効果 愛知2月ゼロ

毎日新聞 4/20(木) 10:00配信

 医療費の還付があるなどとうそを言い、受け取り手続きと装って現金自動受払機(ATM)を操作させ送金させる還付金詐欺の被害防止策として、ATMの操作に不慣れな高齢者の振り込みを金融機関の窓口に限定する仕組みが効果を上げている。全国に先駆けて信用金庫が取り入れた愛知県では、今年2月の被害が確認されなかった。全国の信金や地銀が導入を進めている。【斎川瞳】

 警察庁のまとめによると、還付金詐欺の被害は2011年から増加を続け、昨年は全国で前年比1306件増の3682件が認知され、被害額は同17億1000万円増の42億6000万円に上った。昨年の認知件数の93%は65歳以上の高齢者が被害に遭っていた。

 こうした状況を踏まえ愛知県警は昨秋から、地元金融機関に高齢者のATMによる振り込みの制限を要請した。岡崎信金(同県岡崎市)は昨年11月1日、ATMでキャッシュカードによる振り込みを3年間していない70歳以上を対象に、全国で初めてATMでカードによる振り込みをできなくする運用を始めた。12月1日に14信金が追随し、県内の全15信金が導入した。

 愛知県で昨年認知された還付金詐欺は全国3位の352件で、被害額は4億7596万円。前年(109件、1億757万円)から件数で3.2倍、被害額で4.4倍に急増した。月平均30件近くとなり、7月は65件で被害額が年間最多の1億332万円に上った。

 信金の対応を機に、被害認知は12月7件(被害額470万円)、今年1月10件(同1081万円)と減少傾向になった。2月は1件認知されたものの昨年の被害で、新たな発生は確認されなかった。

 岐阜県でも全6信金が1月1日までにATMの振り込み制限を導入した。同県の被害認知は1月1件(被害額209万円)、2月2件(同76万円)、3月ゼロで、この3カ月間は前年同期に比べ件数で11件減、被害額で1264万円減だった。

 この仕組みは窓口で職員が応対することで、詐欺に気付くこともできる。4信金が1月12日から始めた三重県も含め東海地方の先行事例が評判となり、東京都、大阪府、長野県など各地の信金に広がった。今月3日には銀行で初めて愛知県の地銀3行が導入した。

 これらの信金や地銀は、本人や家族の要望があれば70歳未満でも振り込みを窓口に限定している。ある地銀の担当者は「周知徹底を進め、お客さまの預金を守りたい」と話した。

 ◇メガバンクは及び腰

 警察庁のまとめによると、還付金詐欺被害は今年も2月末までに全国で623件(前年同期比192件増)認知され、被害額は約7億3000万円(同約2億3000万円増)と深刻な状況が続く。

 愛知県も3月は8件認知された。被害者はいずれもメガバンクに口座を持つ高齢者。犯人がメガバンク口座の有無を確認して振り込ませる例も出てきた。

 愛知県警はメガバンクにも制限を要請している。しかし、あるメガバンクの担当者は「信金や地銀に比べ顧客数も多く、強制的な振り込み制限は大きな反発が予想される」と及び腰だ。県警は「制限は還付金詐欺の特効薬。全国の金融機関で導入されることを期待する」としている。

 【ことば】還付金詐欺

 犯人側が自治体や年金事務所の職員を装って電話をかけ、払い過ぎた医療費や年金が戻ってくるなどと偽って金をだまし取る。ATM操作に慣れていない高齢者を主に狙い、還付金を受け取るための手続きだとして言葉巧みに被害者の携帯電話へ操作方法を指示し、指定の口座に金を振り込ませるのが手口。2006年に初確認されてから急増し、取り締まりの強化もあって09年に激減したが、11年以降は再び増加している。

最終更新:4/20(木) 10:00

毎日新聞