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<化学兵器禁止機関>シリア空爆 試料分析で「サリン」断定

毎日新聞 4/20(木) 12:19配信

 【ブリュッセル八田浩輔】内戦が続くシリア北部で化学兵器が使用されたとみられる空爆で多数が死傷した事件を巡り、化学兵器禁止機関(OPCW)のウズムジュ事務局長は19日、オランダ・ハーグで開かれた執行理事会で、猛毒のサリンか類似の物質が使われたことに「疑いの余地はない」との分析結果を報告した。

 被害者が搬送されたトルコ当局は試料分析などから既にサリンの使用を断定していたが、国際機関であるOPCWがサリンが使用されたことを確認したのは初めて。空爆について、米欧諸国はシリアのアサド政権軍による攻撃とみなしている。ウズムジュ氏は誰が化学兵器を使用したかについては言及しなかった。

 今月4日に反体制派支配地域の北部イドリブ県ハンシャイフンで行われた空爆では、子供を含む住民ら90人近くが死亡、350人が負傷した。ウズムジュ氏によると、調査チームが犠牲者3人と治療中の7人から採取した試料をOPCWの4カ所の研究施設で分析した結果、「サリンもしくはサリンに似た物質にさらされた」ことが分かった。

 ウズムジュ氏は、聞き取りや新たな試料の収集など調査は継続中とする一方、分析結果は「疑う余地がない」と強調した。また、安全が確保できる状況になれば、「現場での調査を行う用意がある」とした。

 アサド政権は化学兵器を使った空爆を否定。アサド政権の後ろ盾のロシアは、政権軍が空爆した反体制派の武器庫が有毒ガスの発生源だとし、OPCWによる調査を求めていた。今回のOPCWの報告を受け、アサド政権やロシア側の出方が注目される。

 執行理事会は、シリアを含む化学兵器禁止条約の全締約国のうち地域別に選出された41カ国で構成するOPCWの執行機関。20日にも会合を開き、今回の問題を協議する。

 ◇ことば【サリン】

 「青酸カリの500倍」の毒性を持つとされる神経ガスで、1938年にドイツで開発された。化学兵器禁止条約(CWC)で開発や生産、取得、保有などが禁止されている。CWCにはエジプト、イスラエル、北朝鮮、南スーダンを除く192カ国が加盟。シリアも2013年に加盟した。CWCの実施機関として化学兵器禁止機関(OPCW)がある。

最終更新:4/20(木) 12:19

毎日新聞