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中国、家追われた人権派 当局圧力 男30人襲撃「全て取られ靴もない」

産経新聞 4/20(木) 7:55配信

 【北京=西見由章】中国で数回投獄された経験を持つ女性人権活動家、倪玉蘭さん(57)夫妻が今月、北京市内の借家を暴力的に退去させられていたことがわかった。トランプ米政権発足後、中国国内の人権状況への圧力が弱まり、当局が締め付けを強化しているとの指摘もある。

 倪さんによると15日深夜、北京市内の借家に30人以上の男たちが突然侵入。以前に警官の暴行で足が不自由になった倪さんと夫(65)、娘の3人の首や口を押さえつけるなどした上で拉致し、車で2時間以上監禁した。

 倪さんらはその後、見知らぬ土地の倉庫や路上で解放された。倪さん夫妻は仲介業者に1年2カ月分の家賃4万3千元(約70万円)を支払い7日に入居したばかりだった。ところが10日、大家が借家を出て行くよう要求し始めた。家賃の払い戻しも受けていない。

 倪さんが2013年に出所して以降、借家を追い出されるのは9回目。当局側の圧力が背景にあり、今回の暴力事件も「仲介業者と警察が結託して起こした」と認識している。

 「お金や家財を全て取られてしまい、靴すらもない」という倪さん。現在は派出所ロビーのソファで生活している。

 倪さんは弁護士として土地強制収用の被害者を支援していた02年に公務執行妨害罪で実刑判決を受け、弁護士資格も剥奪(はくだつ)された。米国務省は昨年3月、「警察の度重なる脅迫にもかかわらず、ひるまず人権擁護活動を続けた」として倪さんに「世界の勇気ある女性賞」を授与している。

 オバマ前政権下で北京の米大使館は、折に触れて中国の人権状況を懸念する声明を発表していた。ただカナダ紙によると2月末、日本を含む11カ国が連名で人権派弁護士に対する拷問などの問題について実態調査を求める書簡を中国の公安省に提出した際、米国は含まれていなかった。

 政権交代後も「人権分野のスタッフが整備されていない」(北京の外交筋)ことなどが原因とみられるが、中国国内では人権状況への関心の低下を懸念する声も上がっている。

最終更新:4/20(木) 7:55

産経新聞